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こんにちは。【札幌相続遺言プラザ】ふくちたつや司法書士・行政書士事務所の福池達也です。
ご家族やご親族が亡くなり、相続の手続きを進めようとしたとき、相続人の一人と連絡が取れない、あるいはどこにいるのか全く分からないという事態に直面することがあります。このような「行方不明の相続人がいる場合」、遺産分割協議をはじめとする相続手続きは、原則として進めることができません。
「どうすれば遺産を分けられるのだろう?」「いつになったら手続きが終わるのだろう?」そんな不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、行方不明の相続人がいる場合に、なぜ相続手続きが難しくなるのか、そしてその具体的な解決策の一つである「不在者財産管理人」制度について、目的、手続きの流れ、費用、注意点などを詳しく解説します。
相続人のうち一人でも行方不明であると、相続手続きの出発点である遺産分割協議が成立せず、結果として相続全体が停滞してしまいます。
相続人が行方不明である場合に起こるおもな問題は以下のとおりです。
ここでは、相続における全員合意の必要性と、それが得られない場合に生じる問題点を整理します。
遺産相続の基本的なルールとして、亡くなった方(被相続人)の財産をどのように分けるかを話し合う「遺産分割協議」は、相続人全員の参加と合意がなければ有効に成立しません。これは、民法で定められている非常に重要な原則です。
一人でも欠けた状態で行われた遺産分割協議は無効となり、後日、行方不明だった相続人が現れた場合にトラブルが生じる可能性があります。
金融機関での預貯金の解約や、不動産の名義変更(相続登記)なども、原則として相続人全員の同意を示す書類(遺産分割協議書や同意書など)が必要となるため、行方不明者がいるとこれらの手続きがストップしてしまいます。
行方不明の相続人がいるために遺産分割協議ができないと、具体的に以下のような困った事態が発生します。
このように、相続財産を活用したり処分したりすることができず、管理費用だけがかさむといった状況に陥ることもあります。
相続手続きの中には、期限が設けられているものもあります。代表的なものが「相続税の申告・納付」で、これは相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。
行方不明の相続人がいるために遺産分割協議がまとまらなくても、相続税の申告期限は待ってくれません。期限内に申告・納付ができない場合、延滞税や加算税といったペナルティが課される可能性もあります。
また、長期間放置することで、他の相続人の状況が変わったり(例えば、他の相続人が亡くなってさらに相続関係が複雑になるなど)、証拠書類が散逸したりするリスクも高まります。
行方不明の相続人がいる場合、優先すべきなのは当人を探し出すことです。戸籍謄本や戸籍の附票を辿って現住所を調査したり、共通の知人に連絡を取ったりする方法があります。
しかし、長年音信不通であったり、意図的に連絡を絶っているような場合には、自力での捜索には限界があります。司法書士などの専門家に依頼して、職権で戸籍や住民票を調査してもらう方法もありますが、それでも見つからないケースは少なくありません。
このような場合に、法的な手続きによって事態を打開する方法の一つが、次にご紹介する「不在者財産管理人」制度です。
行方不明の相続人がいることで遺産分割が進まない場合、不在者財産管理人を選任することで法的に協議を進められる可能性があります。
以下は不在者財産管理人制度の概要です。
ここでは、不在者財産管理人制度について解説します。
不在者財産管理人制度とは、従来の住所や居所を去り、容易に戻る見込みのない人(不在者)の財産を管理・保全するために、家庭裁判所が選任する代理人のことです。
行方不明の相続人がいる場合、この制度を利用することで、その不在者に代わって財産管理を行ったり、遺産分割協議に参加したりする権限を不在者財産管理人に与えることができます。
おもな目的と役割は以下の通りです。
つまり、行方不明の相続人がいても、不在者財産管理人を選任することで、法的に相続手続きを進めることが可能になります。
不在者財産管理人を選任できるのは、おもに以下のような条件を満たす場合です。
不在者財産管理人制度は有効な解決策ですが、いくつかのデメリットや注意点も存在します。
これらの点を考慮し、本当に不在者財産管理人の選任が最適な手段なのかを検討する必要があります。
行方不明の相続人がいる場合のもう一つの法的手続きとして「失踪宣告」があります。これは、一定期間生死不明の状態が続いている人について、法律上死亡したものとみなす制度です。
不在者財産管理人
失踪宣告
どちらの制度を選択すべきかは、状況によって異なります。
専門家と相談し、どちらの手続きがご自身の状況にとってより適切かを見極めることが重要です。
参照:失踪宣告|裁判所
不在者財産管理人を選任するためには、家庭裁判所への申立てが必要です。
申立てに関するおもな情報は以下のとおりです。
ここでは、申立てに関する手続きについて解説します。
申立てに必要なおもな書類は以下の通りですが、事案によって追加の書類が必要になる場合もありますので、事前に管轄の家庭裁判所に確認することをおすすめします。
これらの書類は、市区町村役場、法務局、金融機関などから収集します。戸籍謄本などは、本籍地が遠方の場合は郵送で取り寄せることも可能です。
不在者財産管理人選任の申立てから選任までの大まかな流れは以下の通りです。
注意点
期間
申立てから不在者財産管理人が選任されるまでの期間は、事案の複雑さや家庭裁判所の混み具合にもよりますが、一般的に3ヶ月から6ヶ月程度かかることが多いです。場合によっては1年以上かかることもあります。
費用
費用については、事前に専門家や家庭裁判所によく確認することが大切です。
不在者財産管理人の選任申立ては、ご自身で行うことも不可能ではありません。しかし、必要書類の収集や申立書の作成は煩雑で、法律的な知識も一定程度求められます。
専門家(おもに司法書士など)に依頼するメリットは以下の通りです。
費用はかかりますが、時間的・精神的な負担や、手続きの確実性を考慮すると、専門家への依頼は有効な選択肢と言えるでしょう。
家庭裁判所によって選任される不在者財産管理人ですが、どのような人がなれるのでしょうか。
不在者財産管理人の候補者や選任後の役割は以下のとおりです。
ここでは、不在者財産管理人の候補者や役割について解説します。
法律上、不在者財産管理人になるための特別な資格は定められていません。そのため、理論上は不在者の親族や、申立人自身を含む他の相続人などの利害関係者も候補者になることは可能です。
しかし、不在者財産管理人は、不在者の財産を公平に管理し、不在者の利益を保護する立場にあります。
そのため、他の相続人と利害が対立する可能性がある場合(例えば、遺産分割で特定の相続分を主張したいと考えている場合など)は、公平性の観点から候補者として適格でないと判断されることが多いです。
家庭裁判所は、不在者の財産状況、利害関係の有無、管理能力などを総合的に考慮して、最も適任と思われる人を選任します。申立人が候補者を推薦した場合でも、必ずしもその人が選任されるわけではないことを理解しておく必要があります。
実務上は、申立人が推薦した候補者がいない場合や、いても家庭裁判所が不適格と判断した場合、また、管理すべき財産が多い、法律関係が複雑であるといったケースでは、司法書士などの法律専門家が不在者財産管理人として選任されることが多くあります。
専門家が選任されるおもな理由は以下の通りです。
専門家が選任された場合、その報酬は原則として不在者の財産から支払われますが、不在者に十分な財産がない場合は、申立人が予納金として負担した費用から充当されることになります。
不在者財産管理人には、不在者の財産を管理するために必要な権限が与えられますが、同時にいくつかの義務も負います。
おもな権限
おもな義務
しばしば誤解されがちですが、不在者財産管理人の主たる任務は、不在者の財産を適切に管理・保全し、必要な法律行為を行うことであり、行方不明の相続人を積極的に捜索することではありません。
もちろん、職務を行う上で、不在者の手がかりが見つかる可能性はありますが、警察や探偵のように専門的な捜索活動を行うわけではありません。
ただし、遺産分割協議を進めるにあたり、不在者の意向を確認できるに越したことはないため、管理人が可能な範囲で連絡を試みることはあり得ます。しかし、それはあくまで職務の一環として行われるものであり、捜索そのものが目的ではないことを理解しておく必要があります。
もし、行方不明者の捜索を強く希望する場合は、別途、探偵などの専門業者への依頼を検討しましょう。
無事に不在者財産管理人が選任された後、いよいよ止まっていた遺産分割協議を進めることができます。
選任後の遺産分割に関するおもなポイントは以下のとおりです。
ここでは、不在者財産管理人選任後の遺産分割について解説します。
不在者財産管理人は、行方不明の相続人の法定代理人として、他の相続人と共に遺産分割協議に参加します。
不在者財産管理人は、あくまで不在者の利益を守る立場ですので、他の相続人が一方的に有利になるような分割案には同意しません。公平な分割を目指すことが重要です。
不在者財産管理人の報酬は、原則として不在者の財産の中から支払われます。報酬額は、管理した財産の額、管理の期間や内容、事務の難易度などを考慮して、家庭裁判所が決定します。
選任申立ての際に申立人が予納金を納めている場合は、まずその予納金から報酬や管理費用が支払われます。不在者に十分な財産があり、予納金で不足する場合は、不在者の財産から追加で支払われることになります。
報酬の支払時期は、任務終了時や、家庭裁判所が相当と認めた時期となります。
もし、不在者にほとんど財産がなく、予納金も申立人が負担した場合、結果的に申立人が不在者財産管理人の報酬を負担した形になることもあります。
不在者財産管理人が選任された後に、行方不明だった相続人が現れた場合、またはその所在が判明した場合は、不在者財産管理人の任務は原則として終了します。
ただし、本人が戻ってきたタイミングによっては、遺産分割協議が完了しているか否かで状況が変わります。協議中に戻ってきた場合は、本人が協議に参加することになります。
不在者財産管理人が職務を遂行する中で、行方不明だった相続人が実は死亡していたことが判明するケースもあります。
この場合、不在者財産管理人の任務は終了します。そして、その死亡した相続人について、通常の相続手続き(つまり、その人の相続人が誰になるのかを確定し、遺産を承継する手続き)が開始されることになります。
もし、当初の被相続人の遺産分割協議がまだ終わっていなければ、死亡した相続人の相続人(例えば、その人の子や配偶者)が、遺産分割協議に参加することになります。
状況によっては、失踪宣告の手続きに移行することも検討されます。
行方不明の相続人がいるために遺産分割が進まないという難しい状況では、法的な解決策として「不在者財産管理人」制度の活用が有効です。
この制度を利用すれば、行方不明の相続人に代わって財産を管理し、止まっていた遺産分割協議を進めることが可能となるでしょう。
ただし、家庭裁判所への申立てから不在者財産管理人の選任、そして実際の遺産分割に至るまでには、いくつかの段階があり、それぞれに手続きや費用、期間、注意すべき点が存在します。
これらの手続きは専門的な知識を要し、対応に時間と労力がかかることも少なくありません。
もし、ご自身で手続きを進めることに迷いや困難を感じる場合には、相続問題に対応している司法書士などの専門家に相談することも一つの方法です。行方不明の相続人がいる場合は、ぜひ、ご相談ください。
相続手続きは非常に複雑で時間がかかる手続きです。また仕事や家事で忙しい合間に手続きをするのはとても労力がいることです。
など「どうしたらいいか分からない」という事態に陥りやすいのが相続手続きです。
率直に言わせていただくと、これらは初めてやる方にはとても大変な作業です。
時間も手間もかかります。相続人が知らない預貯金や不動産を調査しなければ数年後に困った事態が発生することが多くあります。
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司法書士・行政書士
福池達也
司法書士試験に合格後、司法書士法人にて研鑽。
家族の相続時、金銭により人間関係が悪くなる辛さを身をもって経験し、よりご相談者に寄り添った仕事をするために独立。相続手続をまるごとお任せいただけるサービスを行っている。
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