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相続登記で住所がつながらない!
住所不一致の対処法をわかりやすく解説

相続登記で住所がつながらない!住所不一致の対処法をわかりやすく解説

この記事を読んでわかること

  • 相続登記で住所一致が求められる理由
  • 住所不一致で却下されるケース
  • 住民票の除票と戸籍の附票の違い
  • 登記済証(登記識別情報)の役割
  • 上申書が必要になるケースと書き方
  • 相続登記を放置した場合のリスク

冒頭

こんにちは。【札幌相続遺言プラザ】ふくちたつや司法書士・行政書士事務所の福池達也です。

 

「亡くなった親の住所と登記上の住所が違う!」
「住所不一致でも相続登記できるの?」
親の住民票と登記上の住所が異なり、相続登記できるかどうか迷っていませんか?

相続登記を申請すると、登記上の不動産所有者と、被相続人(亡くなられた方)が同一人物かどうかをチェックされます。
住民票と登記上の住所が不一致だった場合は、基本的に同一人物とみなされないため、現住所までのつながりを証明する必要があります。

しかし、親が何度も引っ越しをしていると、過去の住所を証明できなくなり、相続登記が停滞する可能性があるでしょう。
本記事では、被相続人の住所がつながらないときの対処法や、相続登記の放置リスクなどをわかりやすく解説します。

相続登記は登記上と住民票の住所が一致する必要

相続登記は登記上と住民票の住所が一致する必要

相続登記を申請する際は、被相続人が登記している住所と、住民票の住所の一致が条件です。
被相続人の「登記上の住所」と「住民票の住所」が一致しない場合、不動産登記法第25条11号の規定により、登記申請が却下される可能性があります。
戸籍謄本には本籍地の住所のみ記載されるため、被相続人が引っ越ししている場合は、死亡時の住所を住民票の除票などで証明します。

また、被相続人の自宅を相続するときは、以下のようなケースも理解しておきましょう。

  • 引越ししなくても住所が変わるケース
  • 被相続人の住所変更登記は不要

引っ越しの経験がない方でも、住所不一致になる場合があるので注意が必要です。

参照:不動産登記法第25条|e-Gov法令検索

引越ししなくても住所が変わるケース

被相続人に引っ越しの経験がなくても、以下の理由で住所が変わるケースがあります。

  • 住居表示
  • 土地区画整理事業
  • 市町村の合併

住居表示とは、郵便配達や緊急車両の到着をスムーズにするため、住所を「町名+街区符号+住居番号」で表示する制度です。
たとえば、「○○町○番地の○」だった住所に住居表示が行われると、「○○町△丁目△番△号」などの住所に変わります。
土地区画整理事業や、市町村合併も町名などが再編されるため、引越ししなくても住所が変わっているケースがあるでしょう。

被相続人の住所変更登記は不要

被相続人の本籍地と死亡時の住所が異なる場合、住所変更登記は不要です。
ただし、住民票の除票などを法務局に提出し、住所のつながりを証明する必要があります。
連続した住所の変遷を証明できなければ、相続登記を却下される恐れがあるので注意しましょう。

被相続人の住所がつながらないときの対処法

被相続人の住所がつながらないときの対処法

被相続人が登記している住所と、住民票の住所がつながらないときは、以下の方法で対処できます。

  • 住民票の除票で旧住所を証明する
  • 戸籍の附票で住所のつながりを証明する
  • 登記済証(登記識別情報通知)を提出する
  • 上申書を提出する

住民票の除票や戸籍の附票は市町村役場で入手できますが、住所のつながりをすべて証明できるとは限りません。
公的書類で旧住所を証明できない場合に備え、登記済証も探しておきましょう。

住民票の除票で旧住所を証明する

被相続人の引っ越しが1回だけであれば、住民票の除票で住所のつながりを証明できます
住民票の除票には転入前と死亡時の住所が記載されるので、被相続人の死亡時の住所を管轄する市町村役場に請求しましょう。
発行手数料は市町村役場によって異なりますが、一般的には300〜400円程度です。

戸籍の附票で住所のつながりを証明する

被相続人が何度も引っ越ししている場合は、戸籍の附票で住所のつながりを証明できます。
戸籍の附票には過去の住所履歴が記載されるため、被相続人が戸籍に入籍してから、除籍または死亡時までの住所がわかります。
住民票の除票で住所のつながりを証明できないときは、本籍地の市町村役場に戸籍の附票を請求しましょう。
発行手数料は1通300円ですが、コンビニエンスストアの発行が可能な場合は、200円程度で取得できます。

登記済証(登記識別情報通知)を提出する

住所のつながりを住民票の除票や戸籍の附票で証明できないときは、登記済証(登記識別情報通知)を探してみましょう。
法務局で不動産を登記すると、登記名義人に対して登記済証が1回のみ発行されます。
登記済証は登記名義人だけが所持するため、公的書類で住所のつながりを証明できなくても、被相続人の同一性がわかります。
鍵付きのキャビネットや金庫などを探すと、登記済証が保管されている可能性があるでしょう。

上申書を提出する

被相続人の同一性や、住所のつながりを公的書類で証明できないときは、上申書の提出を検討してみましょう。
上申書には相続人全員が署名・押印(実印)し、以下の書類を添付して法務局に提出します。

上申書に添付する書類 備考
取得可能な住民票の除票や戸籍の附票 市町村役場に保存されているものをすべて取得
住民票の除票や戸籍の附票の廃棄証明書 被相続人の死亡時の住所地を管轄する市町村役場に請求
固定資産税の納税通知書や納税証明書 不動産の所有者に送付されるため、被相続人と登記名義人の同一性を証明可能
※廃棄している場合は市町村役場に納税証明書を請求
不在住証明書や不在籍証明書 被相続人の住民登録がない、または本籍地に被相続人の戸籍がない旨を証明
相続人全員の印鑑証明書 実印の押印を証明

法務局によっては上申書が不要であったり、追加資料を求められたりする場合があるため、事前の確認が必要です。
管轄法務局がわからないときは、各法務局のホームページを調べてみましょう。

参照:各法務局のホームページ:法務局

上申書の文例

○○法務局 御中

上申書

今般、被相続人である○○○○名義の下記物件について、相続を原因とする所有権移転登記を申請いたしますが、登記上の住所から○○○○死亡時に至る住所の変遷を証明できる資料が存在しないため、物件登記上の名義人と、被相続人の同一性を証明できません。

しかし、物件登記上の所有権登記名義人○○○○と、被相続人○○○○は同一人物に間違いありません。

また、本登記が受理された際の権利関係については、今後いかなる紛争も生じないことを確約し、決して御庁にはご迷惑をおかけいたしません。

つきましては、本登記申請を受理していただきたく、ここに上申いたします。

所在:東京都千代田区○丁目○番地○
地番:○番○○
地目:宅地
地積:250㎡

所在:東京都千代田区○丁目○番地○
家屋番号:○番○
種類:居宅
構造:木造瓦葺2階建
床面積:180㎡

令和○年○月○日
住所:東京都大田区大森町○丁目○番地○○
氏名:○○ 一郎  印

不動産の地番などを記載するときは、必ず登記事項証明書の内容に合わせておきましょう。

相続登記が停滞したときのリスク

相続登記が停滞したときのリスク

住所不一致などを理由に相続登記が停滞すると、以下のリスクが発生します。

  • 住民票の除票や戸籍の附票が廃棄されている可能性がある
  • 相続登記を怠ると過料の恐れがある
  • 所有不動産記録証明制度を活用できない

2026年4月1日以降は住所変更登記が義務化されるため、相続後の引っ越しにも注意が必要です。

住民票の除票や戸籍の附票が廃棄されている可能性がある

住所のつながりを住民票の除票や戸籍の附票で証明する際は、保存期間に注意しましょう。
2019年6月の法改正により、住民票の除票や戸籍の附票は150年保存となりましたが、改正前の保存期間は5年です。
被相続人が死亡した時点で住民票の除票などが廃棄されており、登記済証も見つからない場合は、上申書しか住所不一致に対応できません。
相続人同士の住所が離れていると、上申書の作成に時間がかかってしまう可能性があるでしょう。

相続登記を怠ると過料の恐れがある

相続登記は2024年4月1日から義務化されたため、過料に注意が必要です。
不動産の相続を知った日から3年以内に相続登記を申請しなかった場合、10万円以下の過料になる恐れがあります。
遺産分割協議がまとまらず、不動産の相続人が確定しないときは、相続人申告登記を済ませておきましょう。
相続人申告登記を申請すると、義務を履行したとみなされるため、過料の対象にはなりません。

不動産の共有状態が長期化する

相続登記が停滞すると、不動産の共有状態が長期化します。
不動産の共有には以下のリスクがあるため、早めの解消が必要です。

  • 不動産全体の売却や活用に支障をきたす
  • 不動産を担保とするローンの審査に通りにくい
  • 共有者が認知症になると遺産分割協議が成立しない
  • 数次相続により権利関係が複雑になる

被相続人名義の不動産は基本的に売却できないため、空き家などを手放したいときは、相続登記を急ぐ必要があります。

また、共有者が重度の認知症になると、遺産分割協議などの法律行為が制限されます。
共有名義のまま数次相続(次回の相続)が発生した場合は、権利関係者が増えてしまい、遺産分割協議の成立がさらに難しくなるでしょう。

所有不動産記録証明制度を活用できない

登記上の住所と住民票の住所が異なる場合、所有不動産記録証明制度を活用できない可能性があります。
所有不動産記録証明制度とは、2026年2月2日にスタートした国内不動産の一元管理制度です。
法務局に申請すると、「所有不動産記録証明書」を発行してもらえるため、遠隔地にある不動産もすべて把握できます。

ただし、国内不動産は登記上の住所・氏名によって検索されるため、住民票の住所が異なる場合は、所有不動産記録証明書に反映されません。
1回の申請で複数の不動産を把握できますが、あくまでも住所・氏名の変更登記が前提です。

参照:所有不動産記録証明制度について|法務省

相続登記を司法書士に任せたほうがよいケース

相続登記を司法書士に任せたほうがよいケース

相続登記が以下の状況であれば、司法書士への依頼を検討してみましょう。

  • 複数の不動産がある場合
  • 上申書の提出が必要な場合
  • 相続した不動産の売却予定がある場合

司法書士のサポートで相続登記が早く完了すると、不動産売却時の優遇税制を受けられる可能性があります。

複数の不動産がある場合

被相続人が複数の不動産を所有している場合、相続登記申請書の書き間違いや、土地・建物の把握漏れが発生しやすくなります。
雑種地や山林、私道など、見逃しやすい不動産には特に注意が必要です。

また、住所が一致しないときは証明書類の種類が増えるため、事務負担が重くなってしまうでしょう。
被相続人の不動産をすべて把握し、相続登記の負担も軽くしたい場合は、司法書士への依頼をおすすめします。

上申書の提出が必要な場合

法務局に上申書を提出する場合は、司法書士のサポートを受けたほうがよいでしょう。
上申書の添付書類は法務局によって異なり、「○○を証明できる資料」など、具体的な書類名を提示してもらえないケースがあります。

また、地番や家屋番号などを書き間違えると、相続人全員の押印で訂正する、または再作成が必要です。
上申書の作成ミスを防止し、添付書類も漏れなく準備したいときは、司法書士に相談してみましょう。

相続した不動産の売却予定がある場合

相続した不動産を売却する際、一定要件を満たすと以下の特例を活用できます。

特例の種類 特例の概要
居住用不動産(空き家)を売ったときの特例 空き家の譲渡所得から3,000万円を控除
マイホームを売ったときの特例 相続した居住用不動産を売却した際に、譲渡所得から3,000万円を控除
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 相続した不動産を売却する際、納付済みの相続税を取得費に加算

譲渡所得から3,000万円などを控除すると、相続した不動産を非課税で売却できる可能性があるでしょう。
ただし、被相続人名義の不動産は売却できないため、相続登記の完了が前提です。
相続した不動産を早めに売却したいときは、司法書士に相続登記をサポートしてもらいましょう。

参照:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
参照:マイホームを売ったときの特例|国税庁
参照:相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

住所不一致に関するQ&A

公的書類で住所のつながりを証明する場合は、さまざまな疑問が生じるでしょう。

  • 戸籍の附票は広域交付制度で取得できますか?
  • 住所変更登記の負担を軽くできませんか?

戸籍の附票を取得する際や、住居表示があった場合は、以下のQ&Aを参考にしてください。

戸籍の附票は広域交付制度で取得できますか?

戸籍の附票は2024年3月1日開始の「広域交付制度」に対応していないため、本籍地以外の市町村役場では取得できません。
広域交付制度の対象は戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍です。

参照:戸籍法の一部を改正する法律について|法務省

住所変更登記の負担を軽くできませんか?

スマート変更登記を活用すると、住所変更登記の負担を解消できます。
具体的には以下のように運用されるため、まず「検索用情報」の申出が必要です。

  1. 住所変更登記の際に「検索用情報」を申出る
  2. 検索用情報をもとに、法務局が定期的に住基ネットへ照会する
  3. 登記名義人に住所変更があると、確認メールが送信される
  4. 変更登記してよい旨を回答すると、法務局が住所変更登記を行う

引っ越しが多い方は、スマート変更登記を有効活用しましょう。

参照:スマート変更登記のご利用方法|法務省

相続登記に困ったときは司法書士にご相談を

相続登記は生涯に数回程度しか経験しないため、手続きの複雑さや、必要書類の多さに困惑する場合があります。
専門書を読んで基礎知識を習得しても、相続発生時に法律が改正されていると、登記申請の流れや必要書類を間違えてしまう可能性があるでしょう。
死亡時の住所と登記上の住所が不一致だった場合は、公的書類や上申書を準備するなど、特殊な対応が必要です。
近年は相続関係の法改正が急ピッチで進んでいるため、相続登記の手続きに困ったときは、まず司法書士に相談してみましょう。

相続手続きは自分でもできます。ですが…

相続手続きは非常に複雑で時間がかかる手続きです。また仕事や家事で忙しい合間に手続きをするのはとても労力がいることです。

  • 自分で手続きしようとしたが挫折した…
  • 予期せぬ相続人が現れた…
  • 相続人の一人が認知症で困っている
  • 故人の財産を全部把握できない

など「どうしたらいいか分からない」という事態に陥りやすいのが相続手続きです。

率直に言わせていただくと、これらは初めてやる方にはとても大変な作業です。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士
福池達也

司法書士試験に合格後、司法書士法人にて研鑽。
家族の相続時、金銭により人間関係が悪くなる辛さを身をもって経験し、よりご相談者に寄り添った仕事をするために独立。相続手続をまるごとお任せいただけるサービスを行っている。

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