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相続登記を放置しておくとこんなことに!前編

相続登記の手続きが煩雑になる可能性があります

相続手続きには、期限内に手続きをしなければならないものとそうではないものがあります。

例えば、借金などが残っていて相続を放棄する場合は3カ月以内、相続税の申告が必要な方は10カ月以内に行わなければならない、などです。

不動産の名義変更手続である相続登記には、上記のような期限がありません。
期限がないので面倒な相続手続きの中で後回しにしてしまったり、金銭的な理由から故人の名義のまま長い間放置している方も多くいらっしゃいます。

 

しかし、相続登記を放置すればするほど、いざ名義を変更しなければいけない場面で、厄介な問題に発展することがあるので注意が必要です。

 

その厄介な問題とは、大きく2つに分かれます。
 

一つ目は、相続登記の手続きが煩雑になる可能性がある。
二つ目は、空き家問題です。

 

この記事では、一つ目の「相続登記の手続きが煩雑になる可能性がある」ということを説明していきます。
空き家問題はまた次の記事で説明していますので、そちらをご覧ください。

ケース① 時間が経てば経つほど相続人が増える

会社員で40歳のAさんは、実家では、両親と祖父(祖母は早くに他界)、妹とAさんの5人で暮らしていました。今ではAさんも妹も結婚して実家を出ています。Aさんの実家は、Aさんの祖父が建てたもので、そこにAさんの家族が住んでいました。

この度、Aさんの父が亡くなりました。そこでお父さんの財産の相続手続きをする必要がでてきました。しかし、実家の名義が父が亡くなるよりも先に亡くなっていた祖父の名義のままになっていることが分かりました。祖父が亡くなった時に、不動産の名義変更、いわゆる相続登記をしていなかったそうです。



なぜ、祖父が亡くなった際に相続登記をしなかったのかは不明ですが、今回は相続登記を先送りにする訳にはいきません。

なぜなら、実家も古くなっています。そして、母も高齢で一人暮らしになることから、今後実家を売却して、高齢者施設に入居する可能性やAさん夫婦と同居するなど、どのように状況が変わっていくか分からないからです。

 

本来、祖父が亡くなった時に相続登記をしていれば、相続人は、祖父の子供であるAさんの父、父の姉と弟の3人です。そして、この3人で遺産分割協議をして、祖父の財産をどのように分けるか決めて、速やかに手続きを終わらせていれば良かったのですが…

 

祖父が亡くなってから、何年も経っています。その間、父の姉は亡くなっています。そしてAさんの父も亡くなってしまいました。そのため、Aさんの祖父の相続人は、分かっているだけで、Aさんの母、Aさん、Aさんの妹、父の姉の夫、父の姉の子供3人、そして父の弟、と増え続け8人になってしまったのです。

 

父の姉が亡くなってからは、疎遠になっている父の姉の家族に連絡をとり、この8人全員で遺産分割協議書を作成し、8人全員の印鑑証明と実印も必要です。しかも、その話し合いがスムーズにいくとは限りません。

Aさんは、どうして祖父が亡くなった時すぐに相続登記してくれなかったんだ!と腹立たしい気持ちになっていますが、今更、どうにもできません。

ケース② 法定相続人に未成年者がいたら…

Aさんに更なる問題が降りかかります。法定相続人が増えて大変な思いをしているAさん。そこに、Aさんの父に、前妻との間に子供がいることが判明します。Aさんたちが生まれる前のことで、Aさんは父が再婚だったことも知りませんでした。しかも、自分の異母兄弟がはどこに住んでいるのか…。Aさんは大きな衝撃を受けます。

ケース①でもお伝えしましたが、祖父が亡くなった時、つまり、祖父の子供達3人だけが、法定相続人の時に相続登記をしておけばこんなに問題はなかったはずなのに…

さて、ようやく父と前妻の間の子、Aさんの異母兄弟の居場所が分かりました。しかし、この異母兄弟は既に他界しており、異母兄弟には子供がいました。結局、この子供も相続人で、しかも未成年でした。

未成年者は、一人では法律行為ができないため、遺産分割協議は代理人が行うことになります。通常、未成年者が相続人の中にいた場合は、法定代理人である父母が遺産分割協議を行うこととなりますが、その父母と利益相反関係にある場合は、その未成年者に特別代理人を立てる必要があります。その特別代理人は家庭裁判所で選任してもらう手続きを行うことが必要になってきます。

Aさんは、決して法律にも相続にも詳しくない普通のサラリーマンです。問題が複雑に絡み合って、もう頭がパンクしそうです。

ケース③ 法定相続人に認知症の方がいたら…

Aさん、遠方に住んでいる父の姉の夫Bに連絡を取っていました。この方も法定相続人です。

しかし、なかなか連絡が取れません。いつ電話をかけてもいない。父のお葬式に参列してくれた父の姉の息子、Aさんから見て従兄のCさんも忙しいのかすぐに折り返しの連絡をくれず時間がかかっていました。

その理由がやっと分かりました。実はBさん、認知症になっていたのです。Cさんも認知症になっていることをあまり人に知られたくない気持ちがあり、連絡してくれなかったようです。ですがBさんとCさん兄弟からも遺産分割協議書にサインをもらわなくてはいけません。

ですが認知症の方は、未成年者と同じように一人では法律行為ができないため、遺産分割協議には参加できません。では、どうすればいいのでしょうか?

家庭裁判所で成年後見人を選任し、その方が代理人となって遺産分割協議を行うこととなります。

Cさんもそれは必要だと考えていたそうですが、兄弟で話し合いがつかないうちに後回しになってしまい、今に至ってしまったそうです。

成年後見人の申立から選任までは、準備も含めて2~3か月程度の時間がかかってしまいます。

もうすっかり相続登記を放置したい気持ちになっているAさんですが、今後のことを考えると、そういう訳にもいかず、正直途方にくれているところです。

途方にくれるAさん

相続登記を長年放置したために起こる問題、他にも沢山あります。この相続人全員がすぐに快く遺産分割協議書に同意してくれるとは限りません。

 

うちはこんな事にはならない、と思われるかもしれません。ですが、事実は小説より奇なりともいわれます。どんなハプニングが待っているか分かりません。

 

そして何より、この手続きをしなければならないための心理的な負担が大きく、当事者の関係性が悪化してしまう可能性があります。それは相続登記が終わったからと言って修復できるものではなくなってしまいます。

 

そのような状況を未然に防ぎたい、今どうしたらいいか分からず困っている、聞きたい事がある、そのような時は、ぜひ無料相談をご利用ください。札幌市内、札幌市近郊は無料出張相談もあります。

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