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相続登記と不動産売却はどちらが先?
売却に向いている・向いていないケースを解説

相続登記と不動産売却はどちらが先?売却に向いている・向いていないケースを解説

この記事を読んでわかること

  • 相続登記と不動産売却の正しい順番
  • なぜ売却前に相続登記が必要なのか
  • 相続登記と売却準備を並行できる範囲
  • 不動産売却に向いているケース・向いていないケース
  • 税金の特例(空き家特例・取得費加算)の注意点
  • 相続不動産を売却するまでの具体的な流れ

冒頭

こんにちは。【札幌相続遺言プラザ】ふくちたつや司法書士・行政書士事務所の福池達也です。

相続した不動産を売りたいと思っても、「まず相続登記をするべきなのか、それとも先に売却準備を進めてよいのか」と迷ってはいませんか?
空き家や使う予定のない土地を相続した場合は、固定資産税や管理の負担もあるため、できるだけ早く手放したいと考えてしまうものです。 

本記事では、相続登記と不動産売却のどちらを先に進めるべきかを整理し、売却に向いているケースと向いていないケース、売却前に確認したい注意点までわかりやすく解説します。

相続登記と不動産売却はどちらが先?

相続登記と不動産売却はどちらが先?

相続した不動産を売却したいと考えていても、まず押さえておきたいのは手続きの順番です。
相続した不動産を売るには、原則として先に相続登記を済ませる必要があります。

ここでは、不動産売却との関係で最低限知っておきたいポイントを解説します。

  • 【結論】相続登記が先
  • 【疑問】なぜ売却前に相続登記が必要なのか
  • 相続登記と売却準備は並行して進められる? 

【結論】相続登記が先

結論からいえば、相続した不動産を売却するには、先に相続登記が必要です。
被相続人名義のままでは、相続人が自分の名義で売主として売却手続きを進められません。売却を急いでいる場合でも、原則この順番を飛ばすことはできないと考えておきましょう。

また、相続登記は令和6年4月1日から申請が義務化されています。
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならないため、売却予定の有無にかかわらず、早めの対応を心がけてください。

参照:相続登記の申請義務化に関するQ&A|法務省 

なぜ売却前に相続登記が必要なのか

売却前に相続登記が必要になるのは、登記名義が被相続人のままでは、現在の所有者が誰なのかを登記上はっきり示せないからです。
相続人が実際には取得していても、登記が済んでいなければ、第三者に対して権利関係を明確に示しにくくなります。 

買主側にとっても、権利関係が不明確な不動産は安心して購入しにくいものです。

相続登記を済ませて名義を整理しておけば、売却手続きに入りやすくなり、買主から見ても取引の安全性を確認しやすくなるでしょう。 

相続登記と売却準備は並行して進められる?

相続した不動産を実際に売却するには先に相続登記が必要です。
一方で、不動産会社への相談や査定の依頼、必要書類の整理、売却条件の検討などは、相続登記の準備とあわせて進めることも可能です。

相続登記が済めば売却手続きに入りやすくなるため、登記完了を待つ間に売却準備を進めておくと、その後の流れがスムーズになりやすいでしょう。

ただし、並行して進められるのはあくまで準備段階までと考えておきましょう。
被相続人名義のままでは売主として正式に売却を進められないため、最終的な売買契約や所有権移転の場面では、相続登記が済んでいることが前提です。

実務上は、相続人や遺言の有無を確認しながら相続登記の準備を進めつつ、同時に査定や売却方針の検討も行う、という進め方が現実的です。 

不動産売却に向いているケース

不動産売却に向いているケース

相続した不動産の中には、売却に向いているケースと向いていないケースがあります。

まずは2つの違いを、一覧表でまとめてみました。

項目 売却に向いているケース 売却に向いていないケース
利用予定 使う予定がない空き家や空き地 相続人の誰かが住む予定がある
相続人の状況 相続人同士で共有したくない不動産 遺産分割の話し合いがまとまっていない
維持や費用の負担 維持費や管理負担が重い不動産 税金の特例を確認しないまま売ろうとしている

ここでは、不動産売却に向いている代表的なケースをまとめてみました。

  • 使う予定がない空き家や空き地
  • 相続人同士で共有したくない不動産
  • 維持費や管理負担が重い不動産 

使う予定がない空き家や空き地

誰も住む予定がない空き家や、使い道の決まっていない空き地は、売却に向いている典型例です。
保有を続けても活用予定がなければ収益につながりにくい一方で、所有者として管理の責任だけが残ります。
空き家を放置すると、倒壊の危険だけでなく、衛生面や防犯面でも周囲に悪影響を及ぼすおそれがあるため、利用予定がないなら早めに処分を検討したほうがよい場合があります。

また、土地や建物を持ち続ける限り、固定資産税などの負担も続きます。
固定資産税は原則として固定資産の所有者に課される税金であり、使っていない不動産でも負担がなくなるわけではありません。
利用予定がなく、今後も管理だけが続く見込みであれば、売却によって負担を切り離す判断が賢明です。

相続人同士で共有したくない不動産

相続人が複数いる不動産は、共有のまま持ち続けると後の管理や処分で意見が割れやすくなります。

民法には共有物に関するルールが定められており、不動産全体の処分のような重要な行為は、共有者全員の同意が求められます。
相続人の誰かが将来売りたいと考えても、共有状態のままでは話がまとまりにくくなってしまうでしょう。

相続人が複数いる不動産は、共有のまま持ち続けると後の管理や処分で意見が割れやすくなります。

民法には共有物に関するルールが定められており、不動産全体の処分のような重要な行為は、共有者全員の同意が求められます。
相続人の誰かが将来売りたいと考えても、共有状態のままでは話がまとまりにくくなってしまうでしょう。

民法第251条1項

各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。

引用:民法251条|e-Gov法令検索

共有名義で長く持ち続けるよりも、売却して現金化してしまったほうが、相続人同士で分けやすくなります。
特に、相続人の人数が多い場合や、遠方に住んでいて全員で管理しにくい場合は、共有のままにしないほうが後の負担を減らせるでしょう。

維持費や管理負担が重い不動産

遠方にある実家や山林、利用予定のない土地などは、管理負担が重くなりやすいため、売却向きの不動産です。
現地に頻繁に行けない不動産は、建物の傷みや雑草の繁茂に気づきにくく、必要な対応が遅れてしまいがちです。

また、法務省の相続土地国庫帰属制度でも、「遠くに住んでいて利用する予定がない」「管理が必要だけど負担が大きい」土地が想定されており、遠隔地の不動産管理が負担になりやすいことがうかがえます。

さらに、修繕費や草刈りなどの手間に加え、固定資産税の負担も続きます。
空き家の場合、自治体から勧告を受けると、固定資産税などの住宅用地特例が受けられなくなることがあります。

維持する理由が乏しいのに負担だけが増えていく不動産は、早めに売却を検討したほうが合理的なケースが多いでしょう。 

不動産売却に向いていないケース

一方で、相続したからといって、すぐに売らないほうがよい不動産もあります。
ここでは、不動産売却を急がないほうがよいケースを解説します。

  • 相続人の誰かが住む予定がある
  • 遺産分割の話し合いがまとまっていない
  • 税金の特例を確認しないまま急いで売ろうとしている

相続人の誰かが住む予定がある

相続人の誰かが対象の不動産に住む予定があるなら、無理に売却しないほうがよい場合があります。

特に、実家や自宅は、単なる資産ではなく生活の基盤でもあるため、換価のしやすさだけで判断しないほうが無難です。
売却すると現金化はできますが、住み替え先の確保や生活の見通しまで含めて考えなければなりません。

住む予定がある不動産を急いで売ってしまうと、後から残しておけばよかったと後悔することもあります。
生活に使う見込みがあるなら、売却ありきではなく、住み続ける選択も含めて検討しましょう。 

遺産分割の話し合いがまとまっていない

遺産分割の話し合いがまとまっていない不動産も、すぐの売却には向きません。

誰がその不動産を取得するのか、売却代金をどう分けるのかが決まっていない段階では、売却の前提が整っていないためです。
結果として、買い手を困らせることになってしまいます。 

また、相続人が複数いる不動産の場合、遺産分割が終わるまでは相続人全員の共有状態になることから、処分に関する判断がまとまらないと話が進みにくくなります。
話し合い不足のまま売却を急ぐと、後から分け方や進め方をめぐって対立が深まるおそれもあるため、先に遺産分割の話し合いをまとめることを優先させましょう。 

税金の特例を確認しないまま売ろうとしている

税金の特例を確認しないまま急いで売ろうとしているケースも、売却に向いていないといえます。
相続した不動産の売却を検討する際は、主に次の特例を確認しておきましょう。

  • 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
  • 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 

相続した空き家を売却する場合
譲渡所得から3,000万円を控除できる特例

※一定の要件を満たした場合に適用可能

相続税を納めた人が相続財産を一定期間内に売却した場合
相続税額の一部を取得費に加算できる特例が適用

こうした特例の有無で手取り額が変わることがあるため、売却時期や要件の確認は欠かせません。
使えるはずの特例を見落としたまま売却すると、税負担が重くなる可能性があるため、売却を急ぐ前に一度確認しておくことが大切です。 

相続した不動産を売却するまでの流れ

相続した不動産を売却するまでの流れ

最後に、相続した不動産を売るまでの大まかな流れを確認しましょう。

  • 相続人と遺言の有無を確認する
  • 相続登記を行う
  • 売却準備を進める 

相続人と遺言の有無を確認する

まず確認したいのは、遺言があるかどうかと、誰が不動産を取得するのかです。

遺言がある場合
その内容に沿って取得者を確認

遺言がない場合
すべての法定相続人を確認した上で、遺産分割協議によって誰が不動産を取得するかを決める

誰が取得するか決まらないままでは、相続登記も売却準備も進めにくくなります。

また、売却する方針で進めるのであれば、相続人全員の認識をそろえておくことも大切です。
売るのか残すのか、売却代金をどう分けるのかといった点が曖昧なままでは、後から話がまとまらなくなることがあります。

相続した不動産の処分は、単に買い手を探せばよいわけではなく、相続人全員で方向性を共有しておくことが前提になる点に注意しましょう。

相続登記を行う

相続した不動産を売却するには、誰の名義にするのかを決めた上で、相続登記を行う必要があります。

相続登記の流れは、必要書類を集めた上で登記申請書を作成し、法務局へ申請するというものです。
一般的には、戸籍謄本類、被相続人の住民票の除票、相続する人の住民票、固定資産評価証明書などを用意し、遺言書または遺産分割協議書の内容に沿って申請を進めます。

なお、売却を予定しているからといって、いったん相続人全員の共有名義にするのが最適とは限りません。
共有にすると全員の意思確認や手続きが必要になり、かえって進行が複雑になることがあります。
売却が前提であれば、誰の名義で進めるのがスムーズかも含めて確認しておくことが大切です。 

 

売却準備を進める

相続登記が済んだら、次は売却準備に入ります。

一般的な流れは次のとおりです。

  1. 不動産会社に査定を依頼する
  2. 条件を比較して媒介契約を結ぶ
  3. 買主が決まったら売買契約を締結する
  4. 代金決済と引渡しを行う

売却によって利益が出た場合には譲渡所得の申告が必要になることがあるため、売却価格だけでなく、税金の見通しもあわせて確認しておくと安心です。
土地や建物の譲渡所得は、給与所得などとは分けて計算する分離課税です。

なお、譲渡所得は、売却代金そのものではなく、収入金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
仲介手数料や測量費など、売却時に直接かかった費用が譲渡費用に当たる場合もあるため、売却準備の段階から資料を残しておくと、後で整理しやすくなるでしょう。

参照:No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)|国税庁 

相続登記をしてから不動産売却の準備をしよう

相続した不動産を売却したい場合は、売却より先に相続登記が必要です。

ただし、相続した不動産がすべて売却向きとは限りません。相続人の誰かが住む予定がある場合や、遺産分割の話し合いがまとまっていない場合は、急いで売らないほうがよいこともあります。
一方で、使う予定のない空き家や、管理負担が重い不動産は、売却を前向きに検討しやすいでしょう。

相続登記と不動産売却のどちらを先に進めるべきか、また今の不動産が売却向きかどうかで迷う場合は、司法書士に相談しておくと安心です。
状況に応じた進め方を整理しやすくなり、相続後のトラブルも防ぎやすくなるでしょう。

相続手続きは自分でもできます。ですが…

相続手続きは非常に複雑で時間がかかる手続きです。また仕事や家事で忙しい合間に手続きをするのはとても労力がいることです。

  • 自分で手続きしようとしたが挫折した…
  • 予期せぬ相続人が現れた…
  • 相続人の一人が認知症で困っている
  • 故人の財産を全部把握できない

など「どうしたらいいか分からない」という事態に陥りやすいのが相続手続きです。

率直に言わせていただくと、これらは初めてやる方にはとても大変な作業です。

時間も手間もかかります。相続人が知らない預貯金や不動産を調査しなければ数年後に困った事態が発生することが多くあります。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士
福池達也

司法書士試験に合格後、司法書士法人にて研鑽。
家族の相続時、金銭により人間関係が悪くなる辛さを身をもって経験し、よりご相談者に寄り添った仕事をするために独立。相続手続をまるごとお任せいただけるサービスを行っている。

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