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こんにちは。【札幌相続遺言プラザ】ふくちたつや司法書士・行政書士事務所の福池達也です。
大切な家族が亡くなって相続が発生すると、遺された遺産が借金だらけだった場合に相続放棄を考える方も少なくありません。
管理が難しい不動産や、法的な問題を抱えている資産が関わると、さらにその決断は複雑になるでしょう。
このまま相続してしまうとどのようなリスクがあり、また、相続放棄をしたくても放棄できないケースにはどのようなものがあるのでしょうか?
本記事では、相続放棄ができない様々な状況とその対策を解説していきます。
相続とは故人の遺した財産を引き継ぐことですが、すべての人が単純に相続するわけではありません。相続の放棄を検討するのは、以下のような状況です。
ここでは、相続放棄を検討する具体的な状況について解説します。
相続が始まると、故人の負の遺産である借金も相続人に引き継がれます。特に、故人が多額の借金を残し、その総額が遺産の価値を上回る場合は相続放棄が検討されます。
例えば、故人が3,000万円の借金を抱えており、遺産として残された資産が2,000万円のみだった場合、相続人が負担するのは1,000万円です。
このような時、相続放棄を行えば借金の返済義務から逃れられます。
相続する遺産が、不動産や事業など、日常的な管理が困難な資産である場合、相続放棄が検討されます。
例えば、遠隔地にある不動産や特定の技術を要する事業などの資産は、専門的な知識や手間を要するため、管理が難しいと感じる相続人も少なくありません。
相続放棄をすれば、時間的、身体的な負担から解放される可能性があります。
遺産の中に、法的な問題を抱えるものが含まれていれば、将来的に訴訟や法的な争いを引き起こす原因になることがあります。
例えば、遺産が不正な方法で取得された可能性がある場合や、遺産に関する権利関係が複雑である場合、相続放棄をすれば、このようなリスクから身を守ることができます。
法的な争いに巻き込まれると多大な時間・経済的コストが発生し、精神的な負担も大きいです。このような時、相続放棄は有効な選択肢となります。
故人との間に未解決の確執がある家族がいる場合、遺産相続によって家族関係をさらに悪化させる恐れがあります。
相続放棄をすれば、家族間のさらなる争いを防ぎ、相続人自身の精神的な平穏が期待できるでしょう。
相続放棄はすべての相続人に影響しますが、特に家族間の和解を望む場合には、相続放棄が和解の一歩となることもあります。
相続放棄の決断をする場合、特に家族全員の意見を配慮するように心がけてください。
相続放棄の主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
ここでは、相続放棄のメリットとデメリットを紹介します。
相続放棄の利点の一つは、故人が残した借金を相続せずに済むことです。
例えば、故人が5,000万円の借金を残しており、遺産が3,000万円の価値しかない場合、相続放棄によって2,000万円の損失を回避可能です。
借金が遺産の総額を上回る場合は特に、借金で生活が困窮するリスクを軽減して自己の財産を守るためにも、故人の負債を相続しない相続放棄を検討しましょう。
相続放棄は特に、遺産総額よりも借金が多い「負の遺産」の場合に有効です。
故人の遺産が何らかの法的な問題を抱えている場合、相続放棄によって問題から身を守れる場合があります。
例えば、不正な手段で取得された可能性がある資産や、未解決の訴訟が関わる資産を相続してしまうと、相続人が法的な責任を問われるリスクが高いです。
相続放棄を行えば、このようなリスクを回避し、訴訟費用や精神的なストレスからの解放が期待できます。争いを避け平穏な生活を望む相続人にとっては、大きな利点でしょう。
相続放棄を行えば、遺産を巡る法的な争いや家族間の確執から自身を守ることができます。特に、相続が複雑になりそうな家庭では、相続放棄によって精神的な安定が期待できます。
相続に伴う訴訟やトラブルは、時間とコストがかかるだけでなく、精神的なストレスも大きいです。
相続放棄ができれば、法的・精神的な負担からの解放が期待できるので、家族間のトラブルを避け、これまでの生活を優先するなら、相続放棄を検討しましょう。
相続放棄は、故人から受け継ぐことのできた遺産全体を受け取る権利を放棄するので、負の遺産だけでなく、価値ある資産も放棄しなければなりません。
例えば、故人が残した美術品や不動産が将来的に価値を増す可能性がある場合でも、すべて手放す必要があります。相続放棄は遺産全体に適用されるため、一部の資産だけを選んで放棄することはできません。
そのため、相続放棄が将来的に後悔することにもなり、特に遺産の中に高価な物が含まれている場合は、大きな損失と感じるかもしれません。
相続放棄は一度の決断で未来の可能性を完全に切り捨てることにもなり得るため、慎重な検討が必要です。
相続放棄した決定は、原則として撤回できません。一度手続きが完了してしまうと、たとえ後から遺産の価値が上がったことがわかったとしても、取り戻すことは法的に認められていません。
取り消しができない点は、相続放棄の大きなデメリットです。
そのため、相続放棄をする際には重要な遺産を失う可能性がある点を十分に考慮し、十分な情報収集と家族と相談の上、慎重に決定しましょう。
相続放棄をすると、その相続分が他の相続人に移ります。これが原因で、家族間で新たな不和が生じる可能性は否定できません。
特に、相続放棄が家族の中で不公平感を生じさせる場合、長期的な遺恨につながることもあります。
家族内の平和を保つための相続放棄もある一方で、相続放棄の結果として他の家族関係に亀裂が入ることもあるため、十分な注意が必要です。
相続放棄は一定の条件下でのみ可能ですが、特定の状況では相続放棄ができない場合があります。以下のケースに注意しましょう。
ここでは、相続放棄が許されない具体的な場合について解説します。
相続放棄を行うには、故人の死を知った日から正確に3か月以内に手続きを完了させる必要があります。
この期間を「熟慮期間」と言い、熟慮期間を過ぎてしまうと相続放棄ができなくなります。
相続放棄をするには、この期間内に家庭裁判所に相続放棄の申述が必要です。
もし熟慮期間を過ぎてしまった場合、法的には自動的に相続が成立してしまうため、故人の負債や財産を引き継ぐことになります。
熟慮期間内に相続放棄を行えば、故人の借金等の負債から自身を守れます、一度過ぎてしまうとその機会さえが失われてしまいます。
相続が発生したらただちに、相続を放棄するか、相続するかの対応を考えましょう。
単純承認とは、故人の財産だけでなく、借金などの負債も含めた相続のことです。ただし、一度単純承認をしてしまうと、後から相続放棄はできません。
また、単純承認は、故人の財産を利用したり、管理したりするうちにあまり意識されずに行われることが多いです。
例えば、故人の銀行口座からお金を引き出したり、故人の不動産を売却するなどが単純承認に該当します。
これらの行為は、法的に相続を承認したとみなされるため、その後で相続放棄を申し出ても認められません。
相続放棄を考えている場合は、故人の財産に手を付けず、速やかに法的な相談を行いましょう。
相続放棄をするには、裁判所に提出するさまざまな書類を正確に整える必要があります。不備があると、手続きが受理されず相続放棄ができなくなるため注意が必要です。
必要な書類は、相続放棄申述書、被相続人の住民票の除票、申述人の戸籍謄本などです。必要書類の記入に不備があったり、すべてそろっていない場合は手続きが進みません。
また、裁判所から返送される間に、熟慮期間を過ぎるリスクもあります。相続放棄の手続きをスムーズに進める場合は、必要書類を事前にしっかりと確認し、正確に準備しておきましょう。
相続放棄の申述が家庭裁判所によって却下された場合、不服があれば即時抗告の手続きを通じた高等裁判所への申し立てが可能です。
即時抗告をする場合、却下された決定から2週間以内に行いましょう。
却下の理由として最も一般的なのは、熟慮期間を超えた申し立てや単純承認が成立していると判断されたケースです。
ただし、特殊な事情が認められる場合、裁判所の判断を覆すことも不可能ではありません。
即時抗告は、相続放棄に関する裁判所の判決に対して直ちに反応する重要な法的手段であり、相続人が自身の権利を守るための最後の砦です。
そのため、相続放棄が却下された際は速やかに専門の弁護士に相談し、適切なアドバイスを得るように努めてください。
相続放棄を検討する際には、以下の点にご注意ください。
ここでは、相続放棄の際に特に注意すべきポイントについて解説します。
相続放棄を考慮している場合、故人の遺産に手をつけるのは避けましょう。
例えば、故人の銀行口座からお金を引き出す、不動産を売却するなどの行為は単純承認と見なされることがあり、結果として相続放棄ができなくなる可能性があります。
どのような事情があっても、故人の財産の使用は、相続放棄の意思がないと法的に解釈される可能性を高めます。
このため、相続手続きの初期は特に専門家と相談し、どの行動が適切かを慎重に考え、行動しましょう。
参照:民法921条|e-Gov法令検索
熟慮期間は相続を知った日から3か月以内と法律で定められています。この期間内に相続放棄の手続きを完了させなければ、自動的に相続が成立してしまいます。
正確な手続きを行うためには、まず相続放棄申述書、故人の死亡証明書、故人及び申述人の戸籍謄本など必要な書類を集めましょう。
書類の準備には時間がかかることも多いので、熟慮期間の初めにすぐに行動を開始することが望ましいです。
また、手続きの際には、専門家の助けがあればミスなくスムーズに進められるので、検討の価値は十分あります。
参照:民法第915条|e-Gov法令検索
相続放棄を行うと、通常の相続手続きから外れるため、代襲相続が発生しない点に注意しましょう。
代襲相続とは、本来の相続人がすでに亡くなっている場合にその子ども(孫)が相続することを指します。
しかし、相続放棄をした場合、その家族ラインは相続権を失うため、直接その子どもには相続権が移りません。これが特に重要なのは、相続財産を特定の家族に集中させたい場合です。
相続放棄を使って戦略的に財産分配を考えている場合は、相続放棄の制約を十分に理解しておく必要があります。
相続放棄を考える際、すべての遺産を放棄できるわけではない点を理解しておきましょう。
例えば、墓地や墓石などの祭祀用の財産は、放棄が認められていません。
祭祀に関わる財産は、家族の中で誰かが引き継がずには管理ができないため、自動的に相続が成立します。
参照:民法897条|e-Gov法令検索
相続手続きは非常に複雑で時間がかかる手続きです。また仕事や家事で忙しい合間に手続きをするのはとても労力がいることです。
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率直に言わせていただくと、これらは初めてやる方にはとても大変な作業です。
時間も手間もかかります。相続人が知らない預貯金や不動産を調査しなければ数年後に困った事態が発生することが多くあります。
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