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相続登記の方法について
自分でできる具体的な方法と費用を詳しく解説

相続登記の方法について 自分でできる具体的な方法と費用を詳しく解説

冒頭

こんにちは。【札幌相続遺言プラザ】ふくちたつや司法書士・行政書士事務所の福池達也です。

 

大切なご家族が亡くなられ、不動産を相続することになったものの、「相続登記って何?」「自分で手続きできるの?」「費用はどれくらいかかるの?」といった疑問や不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。

特に不動産を複数人で相続する場合、それぞれの持分を明確にして共有名義で相続登記をする必要が生じることがあります。専門家に依頼すると費用がかさむため、自分でできないかと考える方も少なくありません。

本記事では、相続登記の基本的な知識、特に共有名義で相続登記を行うケースについて、ご自身で手続きを進めるための具体的な方法、必要な書類、そして気になる費用について、専門用語を避けながら分かりやすく解説します。

相続登記とは?

相登記(共有名義登記)とは?

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に、その名義を相続人に変更する手続きのことを指します。特に相続人が複数いる場合は、共有名義での登記が必要となることもあります。

相続登記に関する代表的な内容は以下のとおりです。

  • 共有名義で不動産を相続するということ
  • なぜ相続登記が必要になるのか?
  • 共有名義で相続登記するメリットと知っておくべきデメリット

ここでは、相続登記の基本について解説します。

共有名義で不動産を持つということ

共有名義で不動産を相続するとは、一つの不動産に対して複数の相続人が共同で所有権を持っている状態を法務局の登記簿に記録することを指します。それぞれの相続人が持つ所有権の割合を「持分(もちぶん)」と呼びます。

例えば、亡くなった父親名義の土地建物を、母親と子供2人の合計3人で相続し、遺産分割協議の結果、それぞれの持分を母親1/2、子供A1/4、子供B1/4と定めた場合、この3人が共有名義人となり、それぞれの持分が登記されることになります。この持分割合は、遺言による指定がない限り、原則として相続人全員の遺産分割協議によって決定されます。

参照:民法第249条~第264条|e-Gov法令検索

なぜ相続登記が必要になるのか?

相続登記は、不動産の権利関係を明確にし、将来的なトラブルを防ぐために非常に重要な手続きです。

相続登記が一般的に必要となる理由

  1. 権利の明確化と第三者への対抗
    相続登記を行うことで、自分が不動産の正当な権利者であることを法的に証明し、第三者(例えば、他の相続人から不動産を二重に譲り受けたと主張する人など)に対してその権利を主張(対抗)できます。
  2. 不動産の売却や担保提供
    不動産を売却したり、担保に入れて融資を受けたりするためには、原則として相続人への名義変更(相続登記)が完了している必要があります。被相続人(亡くなった方)の名義のままでは、これらの法的な取引や手続きを進めることができません。
  3. 相続登記の義務化
    2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければならなくなりました。正当な理由なく怠ると過料の対象となる可能性があります。

特に共有名義で相続登記を行う主なケース

  • 遺産分割協議の結果、共有を選択した場合
    相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で、不動産を売却して金銭で分けるのではなく、共有名義で所有し続けることを合意した場合。
  • 遺言による指定があった場合
    被相続人が遺言書で「不動産を〇〇と△△で共有するように」と指定していた場合。
  • 法定相続分で登記する場合
    遺産分割協議がまとまらない、または協議を行わずに、法律で定められた相続割合(法定相続分)に従って相続登記を行う場合。この場合、必然的に共有名義となります。
  • 不動産の性質上、現物分割が難しい場合
    一つの土地や建物を物理的に分割することが困難で、各相続人がそれぞれの権利分を確保するために共有を選択する場合。

共有名義で相続登記するメリットと知っておくべきデメリット

共有名義で不動産を相続し登記することには、メリットとデメリットの両方があります。

【メリット】

  • 公平な権利の確保
    各共有者が持分に応じた権利を法的に持てます。
  • 費用の分担
    固定資産税や修繕費などの維持管理費用を持分割合に応じて分担できます(別途取り決めが必要な場合あり)。
  • 単独相続が難しい場合の解決策
    現物分割が困難な場合や、全員が不動産に関わりたい場合に有効です。

【デメリット】

  • 意思決定に全員の同意が必要
    不動産の売却や大規模リフォーム、賃貸などには、原則として共有者全員の同意が必要です。
  • 自分の持分のみの売却は困難
    理論上は可能ですが、買い手を見つけるのは非常に難しいのが実情です。
  • 管理の煩雑さ
    管理方法や費用負担について共有者間で取り決めないと、トラブルの原因になり得ます。
  • 再相続による権利関係の複雑化
    共有者の一人が亡くなると、その持分がさらに相続され、共有者が増えて権利関係がより複雑になる可能性があります。
  • 固定資産税の連帯納税義務
    共有者全員が連帯して納税義務を負います。

これらの点を十分に考慮し、本当に共有名義にすることが最善なのか、相続人間でよく話し合うことが大切です。

参照:民法第251条|e-Gov法令検索

参照:地方税法第10条の2|e-Gov法令検索

遺言・遺産分割協議の重要性について

遺言・遺産分割協議の重要性について

相続による相続登記の手続きを進める上で、まず確認すべきは「遺言書」の有無です。遺言書があれば原則としてその内容に従い、なければ相続人全員で「遺産分割協議」を行う必要があります。

遺言・遺産分割協議に関する主な内容は以下のとおりです。

  • 相続が発生したら最初に確認すべき遺言書の有無
  • 遺産分割協議と協議書の作成ポイント
  • 法定相続分で相続登記(共有名義)する場合の手続きと注意点

ここでは、遺言・遺産分割協議の基本について解説します。

相続が発生したら最初に確認すべき遺言書の有無

被相続人が遺言書を残しているかどうかは、相続手続きの方向性を大きく左右します。

遺言書の種類

主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があります。

「自筆証書遺言」(法務局保管制度を利用していないもの)や「秘密証書遺言」が見つかった場合は、勝手に開封せず、家庭裁判所で「検認」の手続きが必要です。

遺言書の探し方

故人の自宅や、公正証書遺言であれば公証役場、自筆証書遺言保管制度を利用していれば法務局に問い合わせます。

遺言書が見つかった場合

内容に従って不動産の分け方が指定されていれば、その通りに相続登記の手続きを進めます。遺言書で取得者が明確なら遺産分割協議は不要な場合が多いです。

参照:民法第960条~第1027条|e-Gov法令検索

参照:遺言書の検認|裁判所

参照:自筆証書遺言書保管制度について|法務局

遺産分割協議と協議書の作成ポイント

遺言書がない場合や、遺言書で分け方が指定されていない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産をどれくらいの割合で相続するのかを決定します。

協議がまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」として書面に残します。これは相続登記の際に法務局へ提出する重要な書類です。

【遺産分割協議書のおもな記載事項とポイント】

  • 被相続人の情報(氏名、死亡年月日など)
  • 相続人全員の情報(氏名、住所、持分など)
  • どの財産を誰が取得するかの具体的な内容(不動産は登記事項証明書の通り正確に記載)
  • 協議成立年月日
  • 相続人全員の署名・実印押印(印鑑証明書を添付)
  • 複数ページの場合は契印(割印)

内容に曖昧な点がないよう明確に記載し、後々のトラブルを防ぎましょう。専門家(司法書士や弁護士)に作成を依頼することも検討できます。

参照:民法第906条~第914条|e-Gov法令検索

参照:不動産登記の申請書様式について|法務局

法定相続分で相続登記(共有名義)する場合の手続きと注意点

遺産分割協議がまとまらない場合など、法律で定められた相続割合である「法定相続分」に従って相続登記(この場合は共有名義となります)を行うことも可能です。この場合、遺産分割協議書は不要ですが、法定相続人を証明する戸籍謄本類が必要です。

ただし、法定相続分での共有は、前述の共有名義のデメリットがそのまま当てはまります。特に相続人が多い場合や疎遠な親族が含まれる場合は、将来的に不動産の管理や処分が非常に難しくなるリスクがあるため、できる限り遺産分割協議によって具体的な分け方を決定することが望ましいでしょう。

参照:民法第900条|e-Gov法令検索

相続登記に必要な書類と手続きの方法

相登記に必要な書類と手続きの方法

実際に相続登記の手続きをご自身で行う場合、正確な申請手続きを進めるためにも事前の準備と理解が不可欠です。

相続登記に必要な手続きや書類に関する主な項目は以下のとおりです。

  • 自分で相続登記を行うメリット・デメリットと進め方
  • 相続登記(共有名義の場合を含む)に必要な書類一覧
  • 登記申請書の入手方法・具体的な書き方

ここでは、相続登記の手続きと必要書類について解説します。

自分で相続登記を行うメリット・デメリットと進め方

司法書士に依頼せず、自分で相続登記を行うことには、メリットとデメリットがあります。

【メリット】

  • 費用を抑えられる
    司法書士への報酬が不要になります。
  • 手続きに関する知識が身につく
    不動産登記の仕組みを理解できます。

【デメリット】

  • 手間と時間がかかる
    書類収集、申請書作成、法務局への申請など、全て自分で行う必要があります。
  • 専門知識が必要
    申請書の作成ミスは補正や却下のリスクがあります。
  • 書類の不備リスク
    手続きが滞る可能性があります。
  • 精神的な負担
    ミスなく完了させるプレッシャーがあります。

【自分で進める場合の基本的なステップ】

  • 相続人の確定(戸籍謄本類の収集)
  • 遺言書の確認・遺産分割協議(遺産分割協議書の作成)
  • 必要書類の収集
  • 登記申請書の作成
  • 登録免許税の計算と納付準備(収入印紙の用意)
  • 法務局への申請(窓口、郵送、オンライン)
  • 登記完了・登記識別情報通知書の受領

法務局では無料相談窓口を設けている場合がありますが、具体的な書類作成代行や個別案件の詳細なアドバイスは期待できません。

参照:登記手続案内|法務局

相続登記に必要な書類一覧

相続による相続登記を申請する際に一般的に必要となる書類は以下の通りです。事案により異なる場合があるため、詳細は管轄の法務局にご確認ください。

【被相続人(亡くなった方)に関する書類】

  • 出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 住民票の除票(または戸籍の附票)

【相続人全員に関する書類】

  • 戸籍謄本(現在のもの)
  • 住民票(本籍地記載のもの、不動産を取得する相続人分)
  • 印鑑証明書(遺産分割協議書に押印した場合、協議書に押印した相続人分)

【遺産分割に関する書類(いずれか)】

  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印押印)
  • 遺言書(公正証書遺言または検認済の自筆証書遺言)

【不動産に関する書類】

  • 固定資産評価証明書(最新年度のもの)
  • (あれば)名寄帳

【その他】

  • 登記申請書
  • 収入印紙(登録免許税分)
  • 委任状(代理人に依頼する場合)

書類収集は時間がかかるため、早めに準備を始めましょう。

参照:不動産登記の申請書様式について|法務局

登記申請書の入手方法・具体的な書き方

登記申請書は、相続登記手続きの核となる書類です。


入手方法法務局のホームページからダウンロードするか、法務局の窓口で入手します。

おもな記載事項とポイント(相続による共有名義での所有権移転登記の場合)

  • 登記の目的
    「所有権移転」
  • 原因
    相続発生日(被相続人の死亡日)と「相続」(例:令和○年○月○日相続)。遺産分割協議の場合は「年月日遺産分割」も追記。
  • 相続人(申請人)
    被相続人の氏名、不動産を取得する相続人全員の住所・氏名・連絡先・持分(例:持分2分の1山田太郎)、申請人全員の押印(認印可)。
  • 添付情報
    提出する書類名(例:登記原因証明情報、住所証明情報など)。
  • 課税価格
    固定資産評価証明書の不動産価額(1,000円未満切り捨て)。
  • 登録免許税
    計算した税額(100円未満切り捨て)。
  • 不動産の表示
    登記事項証明書の通り正確に記載(土地:所在・地番・地目・地積、建物:所在・家屋番号・種類・構造・床面積など)。最も間違いやすい箇所なので細心の注意を!
  • 申請年月日と管轄法務局
 

法務局のホームページにある記載例をよく確認し、不明な点は相談窓口で確認しましょう。手書きでもパソコン作成でも構いません。

参照:不動産登記の申請書様式について|法務局

相続登記にかかる費用はいくら?
自分でやる場合と専門家依頼の比較

相登記にかかる費用はいくら?自分でやる場合と専門家依頼の比較

相続登記にかかる費用は、手続きを自分で行うか、司法書士などの専門家に依頼するかによって大きく異なります。

相続登記に関する費用の主な内容は以下のとおりです。

  • 自分で相続登記を行う場合の費用の内訳
  • 登録免許税の計算方法と納付の仕方
  • 司法書士に相続登記を依頼した場合の費用相場とサービス内容

ここでは、相続登記にかかる費用について解説します。

自分で相続登記を行う場合の費用の内訳

自分で相続登記を行う場合にかかる主な費用は以下の通りです。

  1. 登録免許税
    登記をする際に国に納める税金。これが費用の大部分を占めます。
  2. 書類取得費用
    戸籍謄本(1通450円~750円程度)、住民票(1通300円程度)、印鑑証明書(1通300円程度)、固定資産評価証明書(1通300円~400円程度)、登記事項証明書(1通600円程度)など。
  3. 郵送費など
    数千円程度。

費用の具体例(固定資産評価額2,000万円の土地を相続した場合)

登録免許税(8万円)+書類取得費用(約5千円~1.5万円)=約8.5万円~9.5万円+郵送費など

参照:登録免許税法|e-Gov法令検索

登録免許税の計算方法と納付の仕方

相続登記の費用の大部分を占める登録免許税は、以下の式で計算します。

登録免許税=不動産の固定資産税評価額×税率

「固定資産税評価額」は、固定資産税の納税通知書や固定資産評価証明書で確認できます。相続による所有権移転登記の場合、税率は原則として0.4%です(売買や贈与の場合は税率が異なります)。

例えば、不動産の評価額が合計2,000万円なら、登録免許税は80,000円(2,000万円×0.4%)となります。100円未満の端数は切り捨てます。

納付は、計算した税額分の収入印紙を購入し、登記申請書に貼り付けて行います。収入印紙は郵便局や法務局で購入でき、消印は不要です。オンライン申請では電子納付も可能です。

参照:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

参照:登録免許税法別表第一|e-Gov法令検索

司法書士に相続登記を依頼した場合の費用相場とサービス内容

司法書士に相続登記を依頼すると、登録免許税や書類取得費用の実費に加え、司法書士への報酬が必要です。

報酬相場は、事案の難易度によりますが、一般的なケースであればおおよそ5万円~15万円程度が目安です。相続人の数が多い、遺産分割協議書の作成も依頼する、戸籍収集が広範囲、不動産が多数あるなど複雑な場合は、報酬額が高くなる傾向があります。

司法書士には、相続関係の調査(戸籍収集)、遺産分割協議書の作成サポート、登記申請書の作成、必要書類の収集、法務局への申請、登記完了後の書類受領など、相続登記に関する一連の手続きを幅広く依頼できます。

最大のメリットは、煩雑で専門的な手続きを全て任せられる安心感と確実性です。時間がない方や手続きに不安がある方、ミスなく確実に完了させたい方には、費用をかけても依頼する価値があるでしょう。

参照:司法書士の報酬|日本司法書士会連合会

遺産分割調停・審判、遺贈で不動産を取得した場合

遺産分割調停・審判、遺贈で不動産を取得した場合

遺産分割協議が成立しない場合や、遺言により財産を譲り受けた場合には、相続登記(または遺贈による所有権移転登記)の方法や必要書類が通常とは異なり、状況に応じた正しい手続きが求められます。

遺産分割調停・審判、遺贈に関する登記手続きの主な内容は以下のとおりです。

  • 遺産分割調停・審判による相続登記手続き
  • 故人から直接財産を譲り受ける遺贈と所有権移転登記の方法
  • 共有名義にする前に決めておくべきこと

ここでは、遺産分割調停や遺贈による登記手続きについて解説します。

遺産分割調停・審判による相続登記手続き

相続人間での遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。調停が成立すると「調停調書」が作成され、これが登記原因証明情報となります。

調停でも合意に至らない場合は「遺産分割審判」に移行し、裁判官が分割方法を決定します。審判が確定すると「審判書謄本」が作成され、これも登記原因証明情報となります。

これらの場合、遺産分割協議書は不要で、不動産を取得する相続人が単独で登記申請できます。

参照:遺産分割調停|裁判所

故人から直接財産を譲り受ける遺贈と所有権移転登記の方法

「遺贈」とは、遺言によって特定の人に無償で財産を譲り渡すことです。故人の意思に基づき、法定相続人以外の人にも財産が承継される場合があります。不動産の遺贈では、特定の不動産を指定する「特定遺贈」が一般的です。

遺贈による所有権移転登記では、遺言書が登記原因証明情報となります。公正証書遺言はそのまま、自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要です。

登記申請は、原則として受遺者(財産を受け取る人)と遺言執行者(または相続人全員)が共同で行います。必要書類には、遺言書のほか、被相続人の死亡を証する戸籍謄本、受遺者の住民票、遺言執行者がいる場合はその資格証明書や印鑑証明書などがあります。

注意点として、受遺者が法定相続人でない場合、登録免許税の税率が通常の相続(0.4%)と異なり2.0%となること、また、不動産取得税が課税される可能性があるため、事前の確認が重要です。

参照:民法第964条~第1014条|e-Gov法令検索

参照:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

参照:地方税制度|不動産取得税|総務省

 

共有名義にする前に決めておくべきこと

将来的なトラブルを避けるため、共有名義で相続登記する前に、共有者間で以下の点について話し合い、可能であれば書面(覚書など)に残しておくことをお勧めします。

  1. 管理方法と費用負担(誰が管理するか、固定資産税・修繕費等の分担方法)
  2. 利用方法(誰が利用するか、特定の共有者が利用する場合の条件など)
  3. 売却や処分の意思(将来的な売却意向、条件、費用負担など)
  4. 共有者の一人が持分を放棄・売却したい場合の対応
  5. 共有者の一人が死亡した場合(再相続)の対応

これらの点を事前に話し合っておくことで、意思決定がスムーズになり、無用な争いを防ぐ効果が期待できます。

参照:民法第249条~第264条|e-Gov法令検索

相続登記完了後の注意点と相続登記の義務化について

相続登記が完了した後も、不動産の管理や法的手続きにおいて注意すべき点があります。特に、2024年から義務化された相続登記への対応は早めの準備が重要です。

相続登記完了後の注意点と義務化に関する主な内容は以下のとおりです。

  • 登記識別情報通知書とは?
  • 共有名義不動産の売却・活用方法と将来の再相続への備え
  • 相続登記をしない場合の罰則と対応策(相続登記の義務化)

ここでは、相続登記完了後の対応と義務化への備えについて解説します。

登記識別情報通知書とは?

登記が完了すると、法務局から「登記識別情報通知書」が発行されます。これは、かつての「権利証」に代わるもので、不動産の所有者であることを証明する非常に重要な情報です。

12桁の英数字からなる「登記識別情報(パスワードのようなもの)」が記載されており、目隠しシールで保護されています。

将来、不動産を売却したり担保に入れたりする際に必要となるため、紛失・盗み見されないよう厳重に保管してください。再発行は原則としてできません。共有名義の場合、共有者それぞれに発行されます。

参照:登記識別情報って何?|福島地方法務局

参照:不動産登記法第21条~第23条|e-Gov法令検索

共有名義不動産の売却・活用方法と将来の再相続への備え

共有名義の不動産を売却・活用する際は、原則として共有者全員の同意が必要です。

売却

全員の同意が得られれば、通常の不動産売買と同様に進められます。売却代金は持分割合に応じて分配されるのが一般的です。

活用(賃貸など)

賃貸に出す場合も全員の同意が必要です。契約内容や管理方法、収益分配も合意形成が求められます。

将来の再相続への備え

共有者の一人が亡くなると、その持分は法定相続人に相続され、権利関係が複雑化するリスクがあります。

対策として、共有者間で遺言書を作成したり、生命保険を活用したりする方法が考えられますが、専門家とよく相談することが重要です。可能であれば、共有状態を解消し単独名義にすることも検討しましょう。

参照:民法第251条〜第252条|e-Gov法令検索

参照:民法第256条〜第258条|e-Gov法令検索

相続登記をしない場合の罰則と対応策(相続登記の義務化)

これまで相続登記は義務ではありませんでしたが、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。

義務化の内容

不動産を相続した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。遺産分割協議が成立した場合も、成立日から3年以内に登記が必要です。

罰則

正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。(過去の相続も対象)
義務化施行日より前に発生した相続も、3年の猶予期間内に登記が必要です。

対応策

未了の相続登記は速やかに手続きを進めましょう。難しい場合は専門家に相談してください。「相続人申告登記」という簡易な手続きで、ひとまず義務を履行したとみなされる制度もあります。

相続登記の義務化は重要な変更です。放置せず、適切な対応を心がけましょう。

参照:相続人申告登記について|法務局

参照:不動産登記法第76条の2|e-Gov法令検索

参照:不動産登記法第76条の3|e-Gov法令検索

参照:不動産登記法第164条|e-Gov法令検索

相続登記でお困りの際は、専門家に相談

相続した不動産の名義変更(相続登記)は、権利関係を明確にする上で重要な手続きです。特に、不動産を複数人で共有する場合には、その手続きは、必要書類の収集から遺産分割協議書の作成、煩雑な登記申請書の作成に至るまで、多くの段階を踏む必要があります。

ご自身で手続きを進めることで費用を抑えられるというメリットはありますが、一方で、正確な書類の準備や法律に基づいた申請書の作成には、相応の時間と労力、そして専門的な知識が不可欠です。

特に、相続人の数が多い場合や、遺産分割協議が難航している場合、あるいは不動産の権利関係が複雑な場合には、手続きの難易度はさらに高まります。登録免許税などの費用計算や、法務局とのやり取りも、不慣れな方にとっては大きな負担となり得ます。

もし、手続きの進め方に迷いや不安を感じたり、時間的な制約からご自身での対応が難しいと感じられたりする場合には、無理をせず専門家にご相談ください。

相続手続きは自分でもできます。ですが…

相続手続きは非常に複雑で時間がかかる手続きです。また仕事や家事で忙しい合間に手続きをするのはとても労力がいることです。

  • 自分で手続きしようとしたが挫折した…
  • 予期せぬ相続人が現れた…
  • 相続人の一人が認知症で困っている
  • 故人の財産を全部把握できない

など「どうしたらいいか分からない」という事態に陥りやすいのが相続手続きです。

率直に言わせていただくと、これらは初めてやる方にはとても大変な作業です。

時間も手間もかかります。相続人が知らない預貯金や不動産を調査しなければ数年後に困った事態が発生することが多くあります。

面倒で複雑な相続手続き
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そんな面倒で複雑な相続手続きを相続の専門家である司法書士が、一括してお引き受けするサービスです。相続人調査(戸籍収集)や遺産分割協議書の作成、預金口座や不動産の名義変更などの相続手続きをまとめて代行いたします。

相続発生後、早めに手続きを行わないと相続関係が複雑化したり、他の相続人と揉め事になったり、環境の変化などにより、手続きが難しくなってしまう恐れがあります。そのため相続が発生したらなるべく早いうちから相続手続を開始することをお勧めしております。

「こういう場合はどうすればいいの?」「困ったことが起きてしまった」というご相談を無料で受けております。何をすればいいか分からない。どう進めていいか分からない。生き別れの相続人がいるはず。などでもご不安なことがあれば、まずは無料相談をご利用ください。

依頼する、依頼しないは、無料相談後にお決めいただけます。もちろん守秘義務もございますし、無料相談後しつこく営業の連絡をすることもありません。

ここまで読まれた方は、きっと相続手続きで分からないことがあり、どうすればいいか気になっているのではないでしょうか?

または、今後のために知っておきたい、というお気持ちかもしれません。今現在お困りの方はもちろんの事、いざという時のために今からできることもお伝えできますので、まずは無料相談をご利用ください。

この記事を書いた人

司法書士・行政書士
福池達也

司法書士試験に合格後、司法書士法人にて研鑽。
家族の相続時、金銭により人間関係が悪くなる辛さを身をもって経験し、よりご相談者に寄り添った仕事をするために独立。相続手続をまるごとお任せいただけるサービスを行っている。

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