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こんにちは。【札幌相続遺言プラザ】ふくちたつや司法書士・行政書士事務所の福池達也です。
「親から生前贈与を受けたけど、これって相続で不利になるの?」
「長年親の介護をしてきたのに、他の兄弟と同じ相続分なんて納得できない…」
相続は、大切な家族を亡くした後に、財産の分け方を決める重要なプロセスです。
特に、一部の相続人が生前に特別な利益(特別受益)を得ていたり、被相続人の財産維持に特別な貢献(寄与分)をしていたりする場合、相続人間の公平性をどう保つかが大きな争点となります。
この記事では、相続における「特別受益」と「寄与分」について、制度の基本から、具体的な計算方法、2023年4月の法改正による「10年ルール」の影響、注意点、そしてトラブル解決策まで、網羅的に解説します。
特別受益とは、一部の相続人が被相続人から生前に受けた贈与や遺贈を考慮し、相続分を調整する仕組みです。
相続の公平性を保つために重要な制度ですが、どのような贈与が該当するのか、どのように計算されるのかを正しく理解しておく必要があります。
特別受益に関する主なポイントは以下のとおりです。
ここでは、特別受益について詳しく解説します。
特別受益とは、相続人の一部が、被相続人(亡くなった方)から生前に、遺贈(遺言による贈与)や贈与によって受けた特別な利益のことです。
民法903条では、この特別受益を「遺産の前渡し」と捉え、相続分を計算する際に考慮することで、相続人間の公平性を図ることを定めています。
特別受益の要件
① 相続人に対する贈与・遺贈であること
② 婚姻もしくは養子縁組のため、または生計の資本としての贈与であること
具体例
該当する可能性が高い
該当しない可能性が高い
ポイントは「生計の資本」
「生計の資本」とは、その贈与が、相続人の生活の基盤を形成・維持するために役立つかどうか、という観点で判断されます。例えば、住宅購入資金は、生活の基盤となる住居を得るための贈与なので、特別受益に該当する可能性が高くなります。
原則として、生前贈与は特別受益に該当する可能性があります。ただし、例外もあります。
例外
遺言で「持ち戻し免除」の意思表示がある場合
持ち戻し免除とは・・・特別受益を相続財産に加算しなくてよいという被相続人の意思表示
被相続人が遺言で、「この贈与は特別受益として扱わない(持ち戻しを免除する)」という意思表示をしていた場合は、特別受益にはなりません。
特別受益がある場合、相続分は以下の手順で計算します。
※みなし相続財産とは・・・相続財産ではないが、相続税の課税対象となる財産のこと(生命保険金、死亡退職金、共済金など)
具体例
相続財産:6000万円
相続人:長男、長女(合計2人)
長男への特別受益(住宅購入資金):2000万円(相続開始時の時価)
みなし相続財産
6000万円 + 2000万円 = 8000万円
法定相続分
長男 8000万円 × 1/2 = 4000万円
長女 8000万円 × 1/2 = 4000万円
長男の具体的相続分
4000万円 - 2000万円(特別受益分) = 2000万円
長女の具体的相続分
4000万円 - 0円(特別受益分) = 4000万円
この例では、長男は特別受益2000万円を考慮され、最終的な相続分は2000万円、長女は4000万円となります。
特別受益が不動産の場合、評価方法は複雑になることがあります。原則として、相続開始時の時価で評価しますが、評価方法(路線価、固定資産税評価額、不動産鑑定士による鑑定など)によって評価額が異なるため、争いになることもあります。
2023年4月1日の民法改正により、特別受益の持ち戻し期間に「10年ルール」が導入されました。
改正前
持ち戻し期間に制限なし(何年前の贈与でも特別受益になり得た)
改正後
原則として、相続開始前10年以内の贈与が特別受益の対象となる
遺留分との関係
ただし、遺留分(相続人に最低限保障される相続分)を計算する際は、10年を超える贈与も考慮されます。
贈与の立証の難しさ
10年以上前の贈与は、贈与の事実や金額を証明することが難しくなる場合があります。通帳の記録、贈与契約書、メールや手紙など、客観的な証拠を残しておくことが重要です。
複数の相続人が特別受益を受けている場合は、それぞれの特別受益額を合計し、上記の計算方法で各相続人の具体的相続分を計算します。
被相続人は、遺言で特定の相続人への特別受益の持ち戻しを免除することができます(遺言優先の原則)。ただし、他の相続人の遺留分を侵害する場合は、遺留分侵害額請求の対象となる可能性があります。
被相続人の預金口座から、使途不明の多額の出金がある場合、「特定の相続人が使い込んだのではないか?」と疑われることがあります。
使途不明金:誰が、何に使ったか不明な金銭
特別受益:特定の相続人が、被相続人から贈与されたことが明らかな金銭
使途不明金は、原則として特別受益にはなりませんが、特定の相続人が使い込んだことが立証できれば、不当利得返還請求や損害賠償請求の対象となる可能性があります。
寄与分とは、相続人の中で被相続人の財産維持や増加に特別な貢献をした人に対し、その貢献度を考慮して相続分を増やす制度で、主なポイントは以下のとおりです。
ここでは、寄与分について詳しく解説します。
寄与分とは、相続人のうち、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした者がいる場合に、その貢献度に応じて相続分を増やす制度です。
寄与分の要件
① 相続人であること
② 被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をしたこと
「特別の寄与」とは
「特別の寄与」とは、相続人が通常期待される以上の貢献をした場合を指します。
単なる同居や、一般的な家事の手伝い程度では、寄与分は認められません。
具体例
認められないケース
特別寄与料とは、相続人以外の親族(例:息子の妻)が、被相続人の療養看護などに貢献した場合に、相続人に対して金銭の支払いを請求できる制度です。
寄与分の計算には、明確な計算式はありません。裁判例や実務では、寄与の種類、期間、程度などを総合的に考慮して、寄与分額を決定します。
計算の目安(療養看護型の場合)
療養看護型の寄与分は、以下の要素を考慮して算定されることが多いです。
相場
寄与分の相場は、ケースバイケースで大きく異なります。過去の裁判例では、数百万円から数千万円まで、幅広い金額が認められています。
寄与分算定の主観性
寄与分の金額は、算定する人の主観に左右されやすいという問題があります。そのため、弁護士などの専門家に相談し、客観的な証拠に基づいた適切な金額を主張することが重要です。
遺言>寄与分
被相続人が遺言で遺産の分け方を指定している場合、原則として遺言が優先され、寄与分は認められません。ただし、遺言で寄与分を考慮することは可能です。
「寄与分>遺留分」の判例
最高裁判所の判例では、「寄与分は遺留分に優先する」とされています。つまり、寄与分を考慮した結果、特定の相続人の相続分が遺留分を下回っても、寄与分が優先されるということです。
特別受益と寄与分は、どちらも相続における公平性を調整する制度ですが、その目的や適用範囲は異なります。以下の比較表を参考に、それぞれの違いを確認しましょう。
特別受益や寄与分を主張するには、客観的な証拠を集め、それを基に相続人同士で協議することが重要です。特別受益・寄与分を主張するためのポイントは以下のとおりです。
ここでは、特別受益・寄与分を主張するための方法について詳しく解説します。
特別受益や寄与分を主張するためには、客観的な証拠が不可欠です。
特別受益の証拠
寄与分の証拠
まずは、相続人全員で遺産分割協議を行い、特別受益や寄与分を考慮した遺産分割案を話し合います。
協議書への明記
合意が得られた場合は、遺産分割協議書に、特別受益や寄与分の内容を具体的に記載します。
記載例(特別受益)
「相続人〇〇は、被相続人から〇〇年〇月〇日に、〇〇(例:住宅購入資金)として〇〇円の贈与を受けており、これは特別受益に該当する。相続人全員は、この特別受益を考慮して遺産分割を行うことに合意する。」
記載例(寄与分)
「相続人〇〇は、〇〇年〇月〇日から〇〇年〇月〇日まで、被相続人の〇〇(例:介護)を行い、被相続人の財産の維持に特別の寄与をした。相続人全員は、この寄与分を〇〇円と認め、遺産分割を行うことに合意する。」
遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。
調停
調停では、調停委員が間に入り、相続人同士の話し合いをサポートします。調停委員は、特別受益や寄与分に関する証拠を検討し、公平な解決案を提示します。
審判
調停でも合意できない場合は、審判に移行します。審判では、裁判官が、提出された証拠や事情を総合的に考慮して、遺産分割の方法を決定します。
特別受益や寄与分に関する問題は、法的な知識だけでなく、不動産登記や相続手続きに関する専門知識も必要となる場合があります。このようなケースでは、相続問題に強い司法書士に相談することが、スムーズな解決への近道となるでしょう。
司法書士に相談するメリット
司法書士費用
司法書士費用は、事務所や案件によって異なりますが、主に以下の費用がかかります。
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相続手続きは非常に複雑で時間がかかる手続きです。また仕事や家事で忙しい合間に手続きをするのはとても労力がいることです。
など「どうしたらいいか分からない」という事態に陥りやすいのが相続手続きです。
率直に言わせていただくと、これらは初めてやる方にはとても大変な作業です。
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司法書士・行政書士
福池達也
司法書士試験に合格後、司法書士法人にて研鑽。
家族の相続時、金銭により人間関係が悪くなる辛さを身をもって経験し、よりご相談者に寄り添った仕事をするために独立。相続手続をまるごとお任せいただけるサービスを行っている。
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