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未成年の相続人と特別代理人の選任

未成年者が相続人となる場合について解説未成年者の相続人と 特別代理人の選任

未成年者がいる場合の相続

こんにちは。【札幌相続遺言プラザ】ふくちたつや司法書士・行政書士事務所の福池達也です。

相続が発生し、相続人の中に未成年者が含まれる場合の相続手続きが、通常の相続手続きと異ることはご存じでしょうか?

この記事では、そんな未成年の相続人が相続手続きに与える影響について、相続の専門家である司法書士が解説します。

未成年者とは?

未成年者とは、満18歳に達していない人のことをいいます。未成年者は、親などの法定代理人の同意がなければ、原則として契約などの法律行為を行うことができません。

ただし、18歳未満でも結婚をした場合、法律上は成人とみなされます。

未成年者に関する法律上のルール

未成年者に関する法律上のルールとして、知っておきたいポイントは、次のとおりです。

  • 未成年は、判断能力が備わっていない者(制限行為能力者)とされ、法律上保護されている。
  • 未成年者は、法定代理人(※1)の同意がなければ、法律行為をすることはできない。ただし、一部例外あり(※2)。
  • 法定代理人の同意を得ずにした法律行為は、取り消すことができる。

※1法定代理人は「親権者、親権者がいない場合は未成年後見人」となります。

※2単に権利を得る、または義務を免れる法律行為は、単独で行うことができるとされています。
例えば、何の負担もなく、お年玉をもらう、借金を帳消しにしてもらうことなどが該当します。

【参考:法律行為とは?】

法律行為とは、当事者がその意思に基づいて一定の効果の発生を求めて行う行為で、法律がその効果の発生を認めるものをいいます。法律行為は、遺産分割協議、売買・賃貸借などの契約行為、遺言や贈与など多岐にわたります。

例)ある物を「売りたい」人と「買いたい」人の意思表示が合致して「売買」の合意が成立します。その合意のもと、「売りたい」人には代金を請求する権利とある物を引渡す義務、「買いたい」人にはある物の引渡しを請求する権利と代金を支払う義務が発生します。つまり、「売りたい」「買いたい」という意思表示に対して、その内容通りの権利・義務(法律効果)が発生するということです。

未成年の相続人がいる場合の遺産分割協議

遺産分割協議は、法定相続人全員の同意がなければ成立しません。また、遺産分割協議は法律行為であるため、未成年者は遺産分割協議に参加することが出来ません。

相続人の中に未成年者がいる場合に遺産分割協議を成立させるためには、未成年者の代わりに親権者が遺産分割協議に参加する必要があるのです。

未成年者と親権者の利益相反

しかし、親権者自身が相続人の一人である場合、親権者と未成年者との間で利益が相反してしまい、公平な遺産分割を実現することが出来ません。このように相続人間で利益相反となる場合には、家庭裁判所に「特別代理人」選任の請求をしなければなりません。(民法826条)

なお、特別代理人は遺産分割協議が終了した時点でその任務は終了します。

【参考:利益相反とは】

利益相反行為とは、ある行為により、一方の利益になると同時に、他方への不利益になる行為をいいます。

事例

【家族構成】被相続人:55歳(死亡)、配偶者:53歳、長男:26歳、二男:23歳、三男:15歳

【相続関係】被相続人、相続人:配偶者・長男・次男・三男の4名で、三男は未成年者です。

未成年者である三男に代わって親権者である配偶者が遺産分割協議に参加しなければ、遺産分割協議は成立しません。配偶者は三男の法定代理人として、遺産分割協議に参加できるのでしょうか?

この事例の場合、配偶者は三男に代わって遺産分割協議に参加することは、配偶者と三男は利益相反となるため、参加することはできません。配偶者の相続分を増やすことは三男の不利益につながります。逆に、親心から三男の相続分を増やそうとすると、配偶者の相続分が減ってしまうためです。そのため、三男のために特別代理人の選任の請求をする必要があります。

特別代理人の選任が不要な場合

相続人の中に未成年が含まれている場合でも、特別代理人の選任が不要な場合もあります。

親が離婚している場合

夫婦が離婚後、一方が亡くなり、未成年の子が相続人になる場合、元配偶者は子の親権者として遺産分割協議に参加できます。

★ポイント★
  • 元配偶者は相続人ではない
  • 元配偶者と未成年者は利益相反とならない
  • 遺産分割協議は長女と元配偶者が行う
代襲相続の場合

被相続人の子が被相続人より先に亡くなっており、未成年者である孫が相続人であり、子の配偶者(孫の親権者)が相続人ではない場合、配偶者は孫の親権者として遺産分割協議に参加できます。

★ポイント★
  • 被代襲者の配偶者は被相続人の相続人ではない
  • 被代襲者の配偶者と未成年者は利益相反とならない
  • 被代襲者の配偶者が未成年者に代わり遺産分割協議に参加する

未成年相続人の特別代理人の選任方法

特別代理人の選任が必要な場合には、親権者または利害関係者が子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に選任の請求を行います。特別代理人が選任されたら、特別代理人は未成年者に代わりに親権者と遺産分割協議を行い、被相続人の相続財産の分配方法を決めます。

未成年者が複数人いる場合

未成年者が複数いる場合は、未成年者全員に対して特別代理人を選任することが必要です。

例えば、親権者と未成年者が利益相反となる場合、未成年者Aには特別代理人「甲」さんを、未成年者Bには特別代理人「乙」さんを選任する必要があります。

裁判所の審判による特別代理人の選任

申立費用や必要書類、提出方法についても注意が必要です。費用や必要書類などは以下のとおりです。

⑴申立先の裁判所

  • 未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所

⑵申立てをする人

  • 親権者
  • 利害関係人

⑵申立てにかかる費用

  • 収入印紙800円分(未成年者一人当たりの金額)
  • 連絡用の郵便切手(管轄の家庭裁判所にご確認ください。)
  • 専門家への報酬(特別代理人の選任の申立手続きを専門家に依頼する場合に必要)

⑶申立てに必要な書類等

  • 申立書(裁判所HPより書式や記載例のダウンロードが可能です。)
  • 未成年者の戸籍謄本
  • 親権者または未成年後見人の戸籍謄本
  • 特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
  • 利益相反に関する資料(遺産分割協議の案など)
  • 利害関係人からの申立ての場合は利害関係を証明する資料

特別代理人は誰が選任されるの?

特別代理人に資格などは特に必要ありませんが、未成年者の利益を保護するため、適切に職務を行えることが求められます。

特別代理人を選ぶ際、親族に依頼することが多いものの、専門家である弁護士や司法書士に相談し選ぶメリットも多くあります。まず、専門家に依頼することで、相続手続きの知識や技術を持っていますので、手続きがスムーズに進むことが期待できます。

なお、特別代理人は遺産分割協議のためだけに選任され、協議が終わったら任務を終了します。

まとめ

今回は、相続人の中に未成年者がいる場合についてご紹介しました。

ポイントは、以下のとおりです。

  • 法定代理人の同意がなければ、遺産分割協議は成立しない。
  • 未成年者と法定代理人の間で利益相反となる場合、特別代理人を選任する必要がある。
  • 特別代理人の選任は、家庭裁判所が行う。
  • 未成年者が、法律上保護されている。

相続手続きは自分でもできます。ですが…

相続手続きは非常に複雑で時間がかかる手続きです。また仕事や家事で忙しい合間に手続きをするのはとても労力がいることです。

  • 自分で手続きしようとしたが挫折した…
  • 予期せぬ相続人が現れた…
  • 相続人の一人が認知症で困っている
  • 故人の財産を全部把握できない

など「どうしたらいいか分からない」という事態に陥りやすいのが相続手続きです。

率直に言わせていただくと、これらは初めてやる方にはとても大変な作業です。

時間も手間もかかります。相続人が知らない預貯金や不動産を調査しなければ数年後に困った事態が発生することが多くあります。

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相続発生後、早めに手続きを行わないと相続関係が複雑化したり、他の相続人と揉め事になったり、環境の変化などにより、手続きが難しくなってしまう恐れがあります。そのため相続が発生したらなるべく早いうちから相続手続を開始することをお勧めしております。

「こういう場合はどうすればいいの?」「困ったことが起きてしまった」というご相談を無料で受けております。何をすればいいか分からない。どう進めていいか分からない。生き別れの相続人がいるはず。などでもご不安なことがあれば、まずは無料相談をご利用ください。

依頼する、依頼しないは、無料相談後にお決めいただけます。もちろん守秘義務もございますし、無料相談後しつこく営業の連絡をすることもありません。

ここまで読まれた方は、きっと相続手続きで分からないことがあり、どうすればいいか気になっているのではないでしょうか?

または、今後のために知っておきたい、というお気持ちかもしれません。今現在お困りの方はもちろんの事、いざという時のために今からできることもお伝えできますので、まずは無料相談をご利用ください。

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