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こんにちは。【札幌相続遺言プラザ】ふくちたつや司法書士・行政書士事務所の福池達也です。
「長年、内縁の妻として連れ添ってくれた彼女に、今住んでいるこの家を遺したい」
「他の兄弟に頼らず、ずっと一人で親の介護をしてくれた長女に、実家を確実に譲りたい」
「お世話になったあの方へ、感謝の気持ちとしてアパートを贈りたい」
ご自身の亡き後、特定の誰かに大切な不動産を確実に渡したいとき、「死因贈与」という方法が有力な選択肢となります。
しかし、その名前は聞いたことがあっても、「遺言と何が違うの?」「手続きが難しそう」「結局、誰に相談すればいいの?」といった疑問や不安が次々と浮かんでくるのではないでしょうか。
本記事では、法律の専門知識がない方でもご理解いただけるよう、以下の点を徹底的に解説します。
死因贈与による不動産登記の全体像をつかみ、ご自身の想いを確実に形にするためにも、ぜひ、最後までお読みください。
まずは基本から押さえましょう。
死因贈与と遺言(遺贈)について、それぞれの特徴や違いは以下のとおりです。
ここでは、死因贈与と遺贈の違いについて解説します。
死因贈与とは、その名の通り「贈与者(財産をあげる人)の死亡によって効力が発生する贈与契約」のことです。
ポイントは、これが「契約」であるという点です。
「私が死んだら、この家をあなたにあげます」という贈与者の申し込みと、「ありがとうございます。いただきます」という受贈者(財産をもらう人)の承諾。
死因贈与は、生前のうちにあげる側ともらう側の両者が合意する双方の「約束」なので、この双方の意思が合致して初めて成立します。
一方で、「遺言」によって財産を渡すことを「遺贈(いぞう)」と呼びます。
死因贈与と遺贈は、贈与者の死後に財産が移るという点で結果は同じですが、そのプロセスには決定的な違いがあります。
死因贈与
贈与者と受贈者の双方の合意によって成立する「契約」(双務行為)
遺贈
遺言者が一方的な意思表示によって行う「単独行為」
受贈者の合意は不要
では、具体的にどちらを選べばよいのでしょうか。
それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
項目 | 死因贈与 | 遺贈(遺言) |
---|---|---|
意思の確実性 | ◎:生前に受贈者の合意を得られるため、確実に受け取ってもらえる安心感がある | △:死後、受贈者が受け取りを拒否(放棄)する可能性がある |
権利の保全 | ◎:生前に「仮登記」をすることで、将来の権利を法的に保全できる | ✕:原則として仮登記はできない |
撤回の自由度 | △:契約のため、原則として一方的な撤回は難しい(※例外あり) | ◎:遺言者がいつでも自由に書き換え・撤回できる |
登記手続き | △:相続人全員の協力が必要になる場合があり、トラブルの元になりやすい(※対策あり) | ◯:遺言執行者がいれば、その人の協力だけで登記できる |
登録免許税 | ✕:固定資産税評価額の2.0% | ◎:固定資産税評価額の0.4% |
不動産取得税 | ✕:課税対象となる | ◎:非課税 |
【死因贈与が向いているケース】
特に、生前に受贈者の合意を得て安心したい、という気持ちが強い場合に、死因贈与は非常に有効な手段となります。
法律(民法)上、契約は口頭でも成立するため、死因贈与も口約束だけで有効とされています。
しかし、これはあくまで法律上の話です。
いざ贈与者が亡くなった後、「そんな約束は聞いていない」と相続人から言われたらどうなるでしょうか。口約束を証明するのは極めて困難です。
したがって、死後のトラブルを避け、あなたの想いを確実に実現するためには、契約書を作成することが事実上必須です。必ず書面に残しましょう。
「死因贈与にしよう」と決めたら、贈与者が元気なうちにやっておくべき重要な手続きがあります。
内容は以下のとおりです。
ここでは、死因贈与を確実にするための重要な手続きについて解説します。
死因贈与契約書は、贈与者と受贈者の双方が合意した内容を書面に残す、最も重要な手続きです。
単なる約束の証拠ではありません。
贈与者が亡くなった後、不動産の名義変更(登記)を行う際に、「なぜ登記をするのか」を証明する最も重要な書類(登記原因証明情報)になります。
最低限、以下の項目は必ず盛り込みましょう。
【死因贈与契約書の必須記載項目】
この契約書を2通作成し、贈与者と受贈者がそれぞれ1通ずつ大切に保管します。
より契約の効力を高めたい場合、贈与者と受贈者の双方が公証役場に出向いて、私文書である契約書を「公正証書」にしておくことを強く推奨します。
公正証書とは、公証人という法律の専門家が作成する公文書です。
【公正証書にするメリット】
特に、相続人との間にもめ事が起きる可能性が少しでもあるなら、公正証書は絶大な効果を発揮します。
費用は、贈与する不動産の価額によって変動しますが、数万円から十数万円程度が一般的です。
安心を買うための費用と考えれば、決して高くはないでしょう。
「契約書を交わしたけれど、贈与者が心変わりして他の人に売ってしまったらどうしよう…」
「相続人が勝手に不動産を相続登記してしまったら…」こ
のような不安を解消するのが「始期付所有権移転仮登記(しきつきしょゆうけんいてんかりとうき)」です。
これは、将来発生する権利(贈与者の死亡時に不動産の所有権が移転する権利)を、あらかじめ登記簿に「予約」しておくような制度です。
登記簿にこの仮登記を入れておけば、後から不動産を取得した第三者に対して「この不動産は将来私のものになりますよ!」と法的に主張(対抗)することができます。
いわば、順番待ちの整理券のようなものです。この整理券を持っていれば、後から割り込んでくる人がいても、自分の権利が守られます。
仮登記は、贈与者(登記義務者)と受贈者(登記権利者)が共同で法務局に申請する必要があり、手続きも専門的なため、司法書士に依頼するのが一般的です。相続人の妨害を未然に防ぐ強力な一手となるでしょう。
贈与者が亡くなった後、実際に不動産の名義を受贈者に変更する登記手続きについて、具体的な進め方や押さえるべきポイントは以下のとおりです。
ここでは、死因贈与による不動産の登記手続きについて解説します。
手続きの全体像は以下のとおりです。
この一連の手続きで、最も重要かつトラブルになりやすいのが「登記義務者は誰か?」という問題です。
登記申請は、権利を得る「登記権利者(受贈者)」と、権利を失う「登記義務者」が共同で行うのが原則です。
死因贈与の場合、権利を失う贈与者は既に亡くなっています。
では、誰が贈与者に代わって登記義務者になるのでしょうか。
【原則】贈与者の相続人全員
贈与者の財産上の地位は、相続人に引き継がれます。
そのため、原則として贈与者の相続人全員が登記義務者となります。
これは、登記手続きに相続人全員の実印と印鑑証明書が必要になることを意味します。
もし一人でも協力してくれない相続人がいれば、登記手続きはストップしてしまいます。
【最強の対策】
遺言執行者を指定しておく
この問題を回避する、極めて有効な対策があります。
それは、死因贈与契約書の中で「遺言執行者」を指定しておくことです。
この遺言執行者が、いわゆる「死因贈与執行者」の役割を担うことになります。
法律上、死因贈与は遺贈の規定が準用されるため、実務では「遺言執行者」という名称が使われます。
遺言執行者とは、遺言(この場合は死因贈与契約)の内容を実現するために必要な手続きを行う権限を持つ人です。
遺言執行者が指定されていれば、登記義務者はその遺言執行者一人となります。
相続人全員の協力は不要になり、遺言執行者の実印と印鑑証明書だけで登記手続きを進めることが可能です。
そして、この遺言執行者には、財産を受け取る受贈者自身を指定することもできるため、受贈者を遺言執行者に指定しておけば、受贈者は自分一人の意思で登記手続きを完結させられます。
これは、相続人とのトラブルを回避するための最強の対策と言えるでしょう。
実際に登記を申請する際のおもな必要書類をリストアップします。
事案によって変動する可能性があるため、必ず専門家にご確認ください。
【チェックリスト】死因贈与登記のおもな必要書類
<登記の原因を証明する書類>
<贈与者(被相続人)に関する書類>
<登記義務者に関する書類>
(A)相続人全員が義務者の場合
(B)遺言執行者が義務者の場合
<受贈者(登記権利者)に関する書類>
<その他>
これだけの書類を、間違いなく収集・作成するのは非常に骨の折れる作業です。
リストにある「登記原因証明情報」とは、「なぜ今回の登記を申請するのか、その原因となった法律行為や事実を証明する情報」のことです。
死因贈与登記では、通常、当事者間で作成した「死因贈与契約書」がこれに該当します。
ただし、契約書だけでは「贈与者が死亡した」という事実は証明できません。
そのため、贈与者の死亡が記載された戸籍(除籍)謄本も併せて提出し、契約の効力が発生したことを証明する必要があります。
不動産を受け取る際には、必ず費用と税金の話がついて回ります。
死因贈与にかかる費用と税金に関するおもな論点は以下のとおりです。
ここでは、死因贈与にかかる費用と税金について解説します。
登記を申請する際には、登録免許税という税金を国に納める必要があります。
この税率が、死因贈与と相続で大きく異なります。
死因贈与の登録免許税
不動産の固定資産税評価額×2.0%
相続の登録免許税
不動産の固定資産税評価額×0.4%
実に5倍もの差があります。
例えば、評価額2,000万円の不動産の場合、
死因贈与の場合
2,000万円×2.0%=40万円
相続の場合
2,000万円×0.4%=8万円
となり、32万円もの差額が生じます。
これは死因贈与の明確なデメリットです。
登録免許税に加えて、不動産取得税も考慮しなければなりません。
これは、不動産を取得した際に都道府県が課税する税金です。
死因贈与の場合
原則として課税
相続の場合
非課税
「贈与」という名前が付いているため、「贈与税がかかるのでは?」と誤解されがちですが、これは間違いです。
贈与者の死亡を原因として財産が移転するため、税法上は遺贈と同じ扱いとなり、「相続税」の課税対象となります。
相続税には大きな基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)があるため、遺産総額がこの範囲内であれば相続税はかかりません。
相続税には、被相続人が住んでいた土地などの評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」という強力な節税制度があります。
しかし、死因贈与によって財産を取得した場合、原則としてこの特例は使えません。
ただし、受贈者が法定相続人である場合など、一部のケースでは適用できる可能性もあります。
この判断は非常に専門的なため、必ず司法書士に相談することをおすすめします。
死因贈与を検討・実行する上で知っておくべき注意点と、起こりうるトラブルへの対策は以下のとおりです。
ここでは、死因贈与の注意点とトラブル対策について解説します。
万が一、贈与者よりも先に受贈者が亡くなってしまった場合、死因贈与契約は原則としてその効力を失います(失効)。
受贈者の相続人が権利を引き継ぐことはできません。
もし、受贈者が先に亡くなった場合には、その子供に不動産を渡したい、と考えるのであれば、対策が必要です。
契約書に「受贈者が贈与者より先に死亡したときは、本契約の効力は失われず、受贈者の相続人である〇〇に本件不動産を死因贈与する」といった予備的な条項を加えておくことで、想いを繋ぐことができます。
遺言執行者を指定していなかった場合、相続人の一人が「ハンコは押さない」と言い出したら、登記は進められません。
この場合、最終手段として、協力しない相続人を相手取って「所有権移転登記請求訴訟」という裁判を起こすことになります。
裁判で勝訴すれば、その判決書を使って受贈者が単独で登記を申請できますが、多大な時間・費用・精神的負担を強いられることになります。
このような事態を避けるためにも、生前に受贈者を遺言執行者に指定しておくことが、いかに重要かお分かりいただけるでしょう。
参照:民事訴訟|裁判所
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された、最低限の遺産の取り分のことです。
特定の誰かに全財産を渡すような死因贈与契約は、他の相続人の遺留分を侵害する可能性があります。
遺留分を侵害された相続人は、受贈者に対して「遺留分侵害額請求」を行うことができます。
これにより、不動産そのものが取られてしまうわけではありませんが、侵害した遺留分に相当する金銭を支払う義務が生じます。
この支払いができなければ、最悪の場合、不動産を売却して支払いに充てなければならない事態も考えられます。
対策としては、遺留分を侵害しない範囲で財産を贈与するか、受贈者が支払うための資金(代償金)を生命保険などで別途準備しておく、といった生前対策が有効です。
贈与する不動産が田んぼや畑などの「農地」である場合は、特別な注意が必要です。
死因贈与は「契約」であるため、所有権を移転するには、原則として農業委員会(または都道府県知事)による農地法の許可が必要となります。
受贈者が農業を営んでいないなど、許可の要件を満たさなければ許可は下りず、登記もできません。
この点は、許可が不要な「相続」とは大きく異なる点です。
死因贈与は、ご自身の亡き後に特定の誰かへ不動産を渡すための有効な方法です。
生前に双方の合意で契約を結ぶため、遺言とは異なり、相手に受け取ってもらえるという安心感を得られる点が大きな特徴ですが、その実行にはいくつかの重要なポイントがあります。
生前には、法的に有効な契約書の作成や、将来の権利を守るための仮登記が重要となります。
そして、ご逝去後の名義変更(登記)手続きでは、誰が登記義務者になるのか、どのような書類が必要になるのかを正確に把握しておかなければなりません。
また、登録免許税や不動産取得税といった費用・税金も、相続の場合とは異なる点を理解しておく必要があります。
これらの手続きは専門的な知識を要し、ご自身ですべてを対応するには相応の時間と労力がかかることも事実です。
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司法書士・行政書士
福池達也
司法書士試験に合格後、司法書士法人にて研鑽。
家族の相続時、金銭により人間関係が悪くなる辛さを身をもって経験し、よりご相談者に寄り添った仕事をするために独立。相続手続をまるごとお任せいただけるサービスを行っている。
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名称 | 札幌相続遺言プラザ 運営:ふくちたつや司法書士・行政書士事務所 |
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