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生前贈与を受けつつ相続放棄する
注意点と具体的な5つの手順を解説

生前贈与を受けつつ相続放棄する 注意点と具体的な5つの手順を解説

冒頭

こんにちは。【札幌相続遺言プラザ】ふくちたつや司法書士・行政書士事務所の福池達也です。

相続権の発生はいつ起こるとも知れません。

相続税の対策として生前贈与を計画することや、状況によって相続放棄を選択する場合もあるでしょう。

ところが、いざ相続が発生した時、多くの人は贈与された財産をどう扱うか、予期せぬ負債からどのように身を守るか、詳しく知りません。

本記事では、生前贈与を受けた上で相続放棄する注意点と、具体的な手順を詳しく解説します。

生前贈与を受けても相続放棄は可能

生前に贈与を受けた後、相続放棄を行うことは可能なのでしょうか?

生前贈与と相続放棄が別々の概念であることはあまり知られていません。

ここでは、生前贈与と相続放棄の基本事項と、相互関係について詳しく解説していきます。

 

生前贈与とは

生前贈与とは、一人の人が自分の財産を他の人に贈る行為で、相続とは異なります。

生前贈与は贈与契約に基づいて行われ、口頭でも書面でも有効であり、家庭裁判所の介入は必要ありません。

贈与には現金や預金だけでなく、株式や不動産などの財産を含められます。

また、生前贈与は相続税の負担を軽減する方法として利用されることがありますが、注意点や特例制度があります。

相続放棄とは

相続放棄は、亡くなった人からの相続権を放棄する手続きです。

相続放棄を行った場合、放棄した相続人は法的には相続人ではなくなり、遺産を受け継ぐ責任や債務を負いません。

例えば遺産として多額の借金が残されている場合、相続人は相続放棄を選択することがあります。

相続放棄手続きは、相続人が被相続人の死亡後、3か月以内に家庭裁判所に提出しなければなりません。

相続放棄が正式に認められると、相続人は相続財産に関する法的義務から解放されます。

生前贈与と相続放棄は両立する

生前贈与と相続放棄は、独立した法的手続きであり、一方を選択したからと言って他方が制約されることはありません。

具体的な事例を通じて説明します。

例えば、父親が500万円の借金を抱え、同居中の長男が父親の負債を相続したくない場合を考えます。

相続放棄をすれば借金を受け継がなくて済むため、長男は相続放棄を希望するでしょう。

ところが、長男はそのまま自宅に住みたいため、相続放棄の前に父親から自宅を生前贈与してもらうことができます。

すると、生前贈与を受けた上で相続放棄手続きを行うことができ、長男は借金の負担を避けつつ自宅を維持することができてしまいます。

要するに、生前贈与と相続放棄は独立した手続きであるため、生前贈与と相続放棄は両立可能です。

債権者が詐害行為取消訴訟を起こす可能性

ところが、民法424条第1項に基づく詐害行為取消権を持つ債権者が、生前贈与によって自宅などの財産が減少し、債権を回収できなくなる場合、詐害行為取消訴訟を起こす可能性があります(民法第424条)。

詐害行為取消訴訟によって、贈与は無効とされ、贈与された財産は元通りに戻されます。

上記の例で言えば、長男が生前贈与を受けて自宅を所有していたとしても、父親の借金を支払う責任を回避する目的で相続放棄を選択した場合、債権者は詐害行為取消訴訟を起こす可能性に留意しなければなりません。

以上のように、生前贈与と相続放棄は独立した手続きであり、一方を選択したからと言って他方が影響を受けることはありませんが、特に債権者との関係に注意が必要です。

生前贈与や相続放棄を検討する際には、専門家のアドバイスを受けるのが賢明でしょう。

生前贈与を受けた上で相続放棄する注意点

生前贈与を受けた上で相続放棄する注意点

生前贈与を受けた後の相続放棄には、十分に注意してください。

以下の5つは、相続放棄に関する基本事項です。

  • 原則として取消不可
  • 手続きには期限がある
  • 配偶者居住権が取得できない
  • 詐害行為取消権が行使される可能性
  • 相続税が発生するケース

ここでは、相続放棄を行う際の主な注意点について詳しく解説していきます。

原則として取消不可

相続放棄は、家庭裁判所に申述が受理されると、原則として取り消すことができません。

これは、遺産相続のプロセスを明確かつ迅速に進めるための法的措置です。

例外的な状況として、詐欺や強迫、または錯誤によって相続放棄がなされた場合、取り消しの余地があります。

しかし、これらの例外状況は稀であり、通常は相続放棄の撤回は認められません。

このため、相続放棄の手続きの前に、十分な検討とアドバイスが不可欠です。

特に、財産と負債の全体的な把握が重要で、誤って財産が多いと思い込んで相続放棄を選択すると、後に取り返しがつかない状況になる可能性があります。

相続放棄を考えている場合には、相続問題に精通した専門家や弁護士に相談するようにしましょう。

また、将来的な問題や誤解を避けるために、相続放棄に至った経緯や理由などを正確に文書として残しておくことをおすすめします。

手続きには期限がある

相続放棄をする場合、法律上、相続開始を知った時から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります**(民法第915条第938条)**。

この期限を過ぎてしまうと、相続人は単純承認したものと見なされ、故人の財産だけでなく負債もすべて相続することになります。

ただし、特別な事情がある場合は例外も認められています。

例えば、重大な病気や災害など「やむを得ない事情」があって期限内に手続きができなかった場合、家庭裁判所は遅れた手続きを認める可能性があります。

しかし、このような特例の申請は非常に厳格に審査されるため、通常は期限内の手続きが望ましいです。

配偶者居住権が取得できない

相続放棄を行うと、配偶者は原則として配偶者居住権を取得することができません。

配偶者居住権は、被相続人の配偶者が、被相続人が所有していた建物に住み続けることを可能にする権利ですが、この権利は自動的に発生するものではありません。

相続放棄をすれば、配偶者は被相続人の遺産に対する一切の権利を放棄することになり、配偶者居住権も放棄されます。

ただし、配偶者短期居住権という、配偶者が相続放棄をしても消滅しない特別な権利があり、被相続人の死後6カ月間、配偶者は被相続人名義の建物に住み続けることができます。

この短期居住権は、配偶者が相続放棄をしても、自動的に取得されるため、一時的に住居の確保が可能です。

配偶者居住権と配偶者短期居住権の違いは、その条件と期間にあります。

配偶者居住権は通常、遺産分割協議や遺言によって設定され、存続期間は終身か特定の期間が定められることが多いです。

一方、配偶者短期居住権は、被相続人の死後自動的に発生し、その期間は6カ月間に限られます。

これらの権利を適切に理解し、活用することは、特に配偶者が住居を失うリスクを抱えている場合に重要です。

相続放棄を検討する際は、配偶者居住権も放棄されることに注意し、専門家への相談も視野に入れておきましょう。

詐害行為取消権が行使される可能性

詐害行為取消権は、債務者が債権者を害することを意図して行った贈与などの行為を、債権者が取り消すことができる権利です。

例えば、被相続人が多額の借金を抱えている状態で生前贈与を行い、その後相続放棄が行われた場合、債権者は詐害行為取消権を行使してその贈与を取り消せます。

このような状況では、贈与を受けた人は贈与された財産を返還する義務に直面するでしょう。

詐害行為取消権が行使され、もともとの贈与が無効となり、贈与された財産は相続財産の一部と見なされるわけです。

こうして債権者は相続人から財産の回収が可能となります。

特に、詐害行為取消権の行使は、被相続人が大規模な生前贈与に対して注目されます。

相続放棄を考えている相続人は、贈与が詐害行為として取消されるリスクを十分に理解した上でお手続きください。

相続税が発生するケース

生前贈与を受けた後に相続放棄をする場合、特定の条件下において相続税が課せられる場合があります。

特に注意すべきは、相続開始前3年から7年以内に行われた生前贈与です。

税制改正により、2024年以降は相続開始前7年以内の生前贈与は、相続税の課税対象となることが明確にされました。

また、相続時精算課税制度の適用を受けた生前贈与も、相続税の課税対象となります。

この制度は、特定の条件下で行われた贈与に対して一定の税額控除を認めるもので、相続時に贈与財産を含めた総相続財産の評価が行われます。

特に相続開始前の数年間の生前贈与には相続税が発生しうるので、意図しない税金の負担を避けるため、十分に注意しましょう。

相続放棄の5つの手順

相続放棄の5つの手順

相続放棄は、予期しない負債や複雑な遺産問題から身を守るための法的手段です。

しかし、この手続きは一度しか行えない上に、逆転は困難であるため、慎重な対応が必要です。

以下は、相続手続きのおおまかな流れです。

ここでは、相続放棄の手続きを5つの手順に分けて解説します。

相続財産の調査を行う

まず、相続財産の調査を行いましょう。

この段階で、被相続人が亡くなる前に所有していたすべての財産、例えば不動産、預貯金、株式、生命保険金などの詳細なリストを作成します。

これには、負債やローンも含まれます。

財産の全体像を把握し、相続放棄をするかどうか判断材料をできるだけ取得しましょう。

相続財産の調査は、時間がかかることがあります。

不動産の場合、登記簿謄本を取得する必要がありますし、預貯金に関しては、銀行や金融機関からの情報収集が必要になります。

また、生命保険の受取人の確認にも時間を要することがあるでしょう。

調査対象が広い場合、予想外に時間がかかことがあるので、相続財産の調査は手際よく行ってください。

相続放棄の意思を固める

相続財産の調査が完了した後、その情報を基に、実際に相続放棄を行うかどうか決断をします。

通常、相続放棄の決定は、被相続人の財産に負債が多い、または相続する意志がない場合に行われます。

相続放棄の手続きは、相続開始を知った日から3ヶ月以内にを行わなければならないので、迅速に行うためにも専門家のアドバイスを受けながら行うのをおすすめします。

相続放棄の権利を失う前に、なるべく早く決断しましょう。

必要な書類を準備

相続放棄の手続きには、いくつかの書類が必要です。

以下の5つをそろえてください。

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票

書類の準備には、それぞれの自治体の役所や法務局への訪問が必要で、特に、戸籍謄本や住民票の除票は、被相続人の本籍地または最後の住所地の役所で取得する必要があります。

相続放棄申述書を作成

相続放棄申述書の作成は、相続放棄手続きの中核です。

申述書には、相続放棄の意思を明確に示すとともに、被相続人との関係、相続財産に関する情報を正確に記載しましょう。

また、「放棄の理由」の欄には、相続放棄を決めた具体的な理由を記入します。

申述書のフォーマットは、家庭裁判所のウェブサイトや窓口で入手できます。

もし、申述書の記載に不明な点があれば、家庭裁判所の担当者に問い合わせるか、法律の専門家への相談をおすすめします。

正確な記載がなされていないと、手続きが遅れる可能性があるのでご注意ください。

裁判所に提出

最終的に、準備した相続放棄申述書と必要な書類を、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。

提出は、相続開始を知った日から3カ月以内に行いましょう。

期限を過ぎると、相続放棄の権利を失う可能性が高くなります。

また、申述書の提出時には、収入印紙800円分と連絡用の郵便切手を添付しましょう。

提出後、裁判所は申述書と添付書類の内容を検討し、相続放棄の受理を決定します。

受理されれば、相続放棄は法的に確定し、相続人は被相続人の財産に対する権利を放棄したことになります。

生前贈与と相続放棄について専門家に相談

本記事では、生前贈与を受けた上での相続放棄について、その注意点と具体的な手順を詳しく解説してきました。

生前贈与と相続放棄は独立した手続きであり、両立が可能であること、しかし相続放棄は原則として取り消し不可であり、手続きには期限が設定されています。

また、配偶者居住権の取得ができない場合や、詐害行為取消権の行使、さらに相続税が発生するケースについてもご留意ください。

もし、生前贈与と相続放棄について具体的なアドバイスや助力が必要な場合、遠慮なくお問い合わせいただき、ご相談ください。

相続手続きは自分でもできます。ですが…

相続手続きは非常に複雑で時間がかかる手続きです。また仕事や家事で忙しい合間に手続きをするのはとても労力がいることです。

  • 自分で手続きしようとしたが挫折した…
  • 予期せぬ相続人が現れた…
  • 相続人の一人が認知症で困っている
  • 故人の財産を全部把握できない

など「どうしたらいいか分からない」という事態に陥りやすいのが相続手続きです。

率直に言わせていただくと、これらは初めてやる方にはとても大変な作業です。

時間も手間もかかります。相続人が知らない預貯金や不動産を調査しなければ数年後に困った事態が発生することが多くあります。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士
福池達也

司法書士試験に合格後、司法書士法人にて研鑽。
家族の相続時、金銭により人間関係が悪くなる辛さを身をもって経験し、よりご相談者に寄り添った仕事をするために独立。相続手続をまるごとお任せいただけるサービスを行っている。

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