【不動産の相続登記】不動産の所有者を確認するには？

相続登記を申請する際に、相続する不動産がどこに存在するのかを知っているだけでは不十分です。

なぜなら、「父名義だと思っていた土地が、調べてみると祖父名義のままだった。」

また、「住宅ローンの支払が完了しているのに金融機関等の担保が付いたままだった」なんてこともよくある話です。

土地の名義が「祖父」のままであれば、「祖父」の相続人の協力が必要となりますし、金融機関の担保が付いたままであれば、担保の抹消手続きも必要になるなど、相続登記の手続きの進め方や必要となる書類が変わってしまいます。

そのため、相続登記を申請する場合、「不動産の所有者は誰か」、「他に共有者がいないのか」、「担保が付いていないのか」等の不動産の情報を事前に確認する事が重要になります。

上記の「所有者」や「担保」等の不動産の情報を確認するために、「登記事項証明書」を取得します。

登記事項証明書には、「所有者」や「担保」等、その不動産の「権利に関する」情報、が記載されています。

また、不動産の権利に関する情報だけではなく、「不動産の所在」、「地番・家屋番号」、「地積・床面積」等、その不動産の「現況に関する」情報が併せて記載されています。

登記事項証明書は、全国どこの法務局でも取得できます。

そして、その不動産を所有している人だけでなく、誰でも取得することができます。

取得方法は、①法務局の窓口で取得する方法、②法務局へ申請書を郵送する方法、③オンライン請求する方法の３種類あります。法務局の窓口で取得する場合は、備え付けの用紙に必要事項を記入し、収入印紙を貼って提出します。法務局の窓口は平日の昼間しか開いていないので、ご都合の悪い方や遠方で行けない方は、郵送での取得も便利です。

不動産にはそれぞれの不動産を特定するために、土地には「地番」、建物には「家屋番号」が割り振られています。

登記事項証明書を取得するには土地であれば「所在」と「地番」、建物であれば「所在」と「家屋番号」が必要となります。

「地番・家屋番号」と「住所」が同じ地域もありますが、住居表示が実施されている地域では「地番・家屋番号」と「住所」が一致しないので、注意が必要です。

普段の生活ではあまり馴染みのない「地番」、「家屋番号」は、「納税通知書」、「登記済権利書・登記識別情報通知」に記載されています。

毎年送付されてくる固定資産税の「納税通知書」や土地や家屋を売買した時から大事に保管してある「登記済権利書・登記識別情報」などが調べやすいところです。

上記の資料がない場合、または登記済権利書などが古いものの場合は、地番や家屋番号が変わっている可能性がありますので、その際は法務局で地番を調べる事ができます。法務局によって「地番検索システム」で住所から地番を調べることや、電話で地番紹介サービスを行っていることがありますので、それぞれの法務局にお問合せ下さい。

名寄帳は土地や建物などの不動産をその所有者ごとに一覧にしたものです。土地家屋課税台帳や固定資産課税台帳の通称です。

名寄帳は、ご家族も把握していない不動産を調べる際に非常に有効です。名寄帳は亡くなられた方が持っていた不動産が記載されています。家族が把握していない土地や近所の私道を持っていた、など思わぬ不動産が出てくることがありますのでこちらも確認してください。

ただし、名寄帳に記載される不動産情報は、その市区町村別の管轄地域内の物だけですので、故人のゆかりの地などがある場合は、そちらも市町村のものも取得することをお勧めします。

名寄帳の取得の際には、亡くなられた方の戸籍（除籍）謄本、請求者が相続人だとわかる戸籍謄本と身分証明書が必要です。