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こんにちは。【札幌相続遺言プラザ】ふくちたつや司法書士・行政書士事務所の福池達也です。
いつ発生するとも知れないのが相続ですが、特に空き家を相続する場合、見通しを立てるのは容易ではありません。
そもそも相続すべきかどうかどのように判断するか、相続する場合どのような活用方法があるか、相続しないならどうするかなど、いくつもの疑問が生じます。
本記事では、空き家の相続が発生したらどうすべきか、空き家を相続する場合、しない場合について解説します。
相続が発生して空き家が相続対象となった場合、まず、空き家の資産価値の見極め、空き家の権利関係を明確にする必要があります。
相続財産の中に空き家が含まれる場合、例外なくすべて相続しなければならないわけではありません。空き家の中には、資産価値がまったくないものも含まれ、劣化して利用できない場合は相続以外の選択肢も存在します。
まずすべきなのは、空き家の資産価値の見極めと、権利関係の明確化です。
空き家の相続が発生したら、空き家の状態や立地、土地の価値を正確に評価し、相続のための判断材料をそろえましょう。
例えば、都市部に位置する空き家は賃貸市場での需要が高く、資産価値も相応に高いですが、地方やアクセスの悪い場所にある空き家は、なかなか買い手が見つからず資産価値が見込めない場合も少なくありません。
また、空き家であっても築浅で設備も比較的新しければまだまだ利用可能で、資産価値のある場合には売却や賃貸の可能性があります。一方、資産価値のない空き家であれば解体、相続放棄といった選択が現実的かもしれません。
空き家の相続が判明したらまず必要なのは、適切な評価と戦略を立てるための資産価値の見極めです。
空き家の相続が発生した際、特に相続人が複数いる場合は、各々の権利や意向が反映された解決策を見つけるために遺産分割協議が開催されます。
現金と異なり、空家の場合は相続資産の分配が難しいため、空き家を活用するにせよ処分して手放すにせよ、空き家の処置には空き家の所有者をはっきりさせる必要があります。
また、もし空き家が複数の相続人によって共有される場合、管理や利用方法についても共同計画が必要で、複雑な相続が想定されます。そのような場合は、専門家のアドバイスを求めた方がよいでしょう。
参照:令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果|総務省
空き家の相続に関して一番やってはいけないのは、空き家の放置です。多忙な中相続が発生し、相続内容を細かくチェックせず、また、遺産分割協議なども不要な場合には空き家の適切な処置を先送りして、失念してしまう可能性もあるでしょう。
しばらくの間は何事もないかもしれませんが、空き家の放置には以下のようなデメリットが伴います。
ここでは、空き家を放置した際に発生しうる問題を解説します。
相続した空き家を適切に管理しなければ、固定資産税が大幅に増加する可能性があります。
通常、住宅用地は特例措置によって固定資産税が大幅に減額されますが、空き家を放置すると、減額の特例が適用外となりえます。
例えば、200平米以下の小規模住宅用地は税額が1/6に、200平米を超える部分は1/3に減額されるのが通例ですが、もし適用から外されると、相続人は予想外の高額な税金を支払わねばなりません。
つまり、空き家が「特定空家」として自治体に認定されると、通常の固定資産税額の最大6倍まで増額される可能性があるということです。これは、空き家の放置によって起こりうる周辺環境への損害を未然に防ぐために講じられる、一種のペナルティです。
また、特例措置が適用されないと、購入希望者は高い固定資産税の負担を嫌がり、市場での競争力が低下するため、土地や建物の売却がさらに困難になります。
空き家の管理を怠ると、固定資産税の増加だけでなく、法的な責任や財政的な負担を背負うことになるため、空き家の放置には十分注意してください。
空き家の劣化はただちに資産価値の低下を引き起こします。建物が老朽化すると、修復には高額なコストがかかり、場合によっては建物の価値がゼロに等しくなることもあります。
特に屋根や外壁の損傷は進行が早く、放置すればさらなる損害を引き起こす原因ともなるでしょう。
資産価値の低下は、将来的にその空き家を売却または賃貸する際に大きな障害となるため、資産価値を保つためにも、空き家の放置は避けましょう。
空き家を放置した結果、周囲の住民との間でトラブルが発生することも珍しくありません。
例えば、建物の部材が老朽化により落下したり、不法投棄が行われたりすることで、周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼします。これらの問題が原因で訴訟に発展し、損害賠償の請求さえありえます。
賠償金は場合によっては数百万円に上ることもあるため、空き家の管理はただコストがかかるだけでなく、法的なリスクも伴う点も心得ておく必要があります。
参照:空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)|国土交通省
相続する空き家に資産価値がある場合、以下のような活用方法が考えられます。
ここでは、資産価値がある空き家の活用事例を紹介します。
相続した空き家が好立地にある場合や、現在の住まいよりも条件が良い場合には、自己利用によって直接的に生活の質の向上を図ることができます。
相続した空き家に自分が居住すれば、その物件に対する固定資産税が住宅用地の特例により減税される場合がありますし、維持管理が行き届くことで、不動産価値の維持・向上も可能です。
また、自分が居住すれば、空き家としてのリスク(例えば、荒廃や犯罪の対象になるリスク)の軽減も期待できます。
また、相続した空き家に資産価値がある場合、賃貸物件として活用すれば安定的な収益になりえます。
空き家を賃貸に出せば、不動産から定期的な収入を得られるだけでなく、物件の維持管理が行き届き、長期的に資産価値を保つことも可能です。
ただし、空き家の賃貸には需要の調査や、ターゲットとなる居住者層に適したリノベーション、設備の投資などを要し、テナントの管理や建物の維持、税金の問題など、賃貸経営上、取り組むべき課題も多くあります。
収益とコストのバランスを考慮した運営計画が立てられるなら、空き家を賃貸物件とするのは良い選択と言えるでしょう。
相続した空き家に資産価値がある場合、売却して収益を得る選択肢もあります。もし市場が有利な時に売却を行えれば、最大限の利益を確保することもできるでしょう。
売却プロセスには、不動産の評価、適切なマーケティング戦略の策定、買主との交渉が含まれるため、売却に際しては、適切な時期と戦略を選ぶことが重要です。
また、売却から得られる利益は、新たな投資や他の財産の購入、または借入金の返済や相続税の支払いにも使用できるため、相続時に考慮する価値は十分あります。
相続した空き家に資産価値がある場合、長期的なメリットとデメリットを慎重に比較検討し、家族や関係者と共に最適な決定をしましょう。
空き家に資産価値がないと判断される場合、次のような処置が考えられます。
ここでは、資産価値のない空き家の処分方法を紹介します。
遠隔地にあって維持管理が困難なものや、立地が悪く活用が難しいもの、老朽化して修繕費が高額になる場合など、空き家に資産価値がない場合は無償で譲渡できないか検討しましょう。
無償で譲渡すれば、空き家の売却手続きや固定資産税の負担からも解放され、所有していた場合にかかる維持管理コストも節約できます。
また、空き家が犯罪の温床となる危険性や、悪臭や衛生問題など周辺住民とのトラブルの原因となるリスクも考慮すると、無償譲渡は適切な選択肢となるでしょう。
ただし、個人から個人に無償譲渡する場合、譲渡する側には税金が課せられませんが、譲渡を受ける側には贈与税が発生する場合がある点には注意しましょう。
譲渡する際には、物件の現状をしっかりと伝え、相手との合意を形成するように努めてください。
建物が老朽化していて、修繕が困難、または経済的に非合理な場合には空き家の解体を検討しましょう。
解体にはコストがかかりますが、放置された空き家は安全上のリスクや衛生問題を引き起こす可能性があるため、売却や再開発がしやすい更地にした方が総合的に見て良い場合があります。
解体をする際には、地元の解体業者から見積もりを取得し、コストと解体後の土地の利用計画を慎重に検討しておきましょう。また、解体作業には適切な許可や手続きが必要となるため、関連法規を遵守するためにも、専門家と協力をおすすめします。
相続財産全体の評価がマイナスである場合や、空き家の管理・維持コストの負担を避けたい場合には、相続放棄を検討しましょう。
相続放棄を行えば、相続人は法律上、財産を受け継いでいないことになり、相続税や空き家の固定資産税の負担から免れられます。
ただし、相続放棄は全財産に対して行われるため、特定の財産だけを選んで放棄することはできない点にはご注意ください。
また、相続放棄を行うには、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出し、手続きを行うなどいくつかの手続きが必要です。
もし相続放棄を検討する場合、相続の開始を知った日から3か月以内に完了させる必要があるため、迅速な対応が必要であることなどご留意ください。
空き家の相続が決定した場合、資産を守るためにも次のような方法を検討しましょう。
ここでは、空き家を賢く相続する方法について解説します。
空き家を相続する際に小規模宅地等の特例を利用すれば、相続税の大幅な軽減が可能です。
この特例は、居住用または事業用の小規模宅地に適用され、特定の条件を満たす宅地について、相続税評価額を最大80%減額できる制度です。
特に、330平米までの居住用宅地が対象となりますが、これには被相続人が亡くなる直前に実際に居住していたかが重要な要素となります。
利用するためには、相続人がその土地に住み続ける意志があること、または事業用として引き続き使用する計画があることが必要です。
また、土地が特例の対象となるためには、申告期限内に適切な書類を税務署に提出し、その条件を証明する必要があります。
相続税の圧縮をするためにも、事前に専門家と相談し、適切な対策を立てることをおすすめします。
空き家を相続した後の売却を検討している場合は、最大3,000万円の特別控除の活用を検討しましょう。
この控除は、相続した不動産を相続の開始から3年以内に売却すれば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度で、特に、古い家屋の売却や更地にしてからの売却が対象です。
ただし、この特例を適用するためには、建物が昭和56年5月31日以前に建築されたものである必要があり、耐震基準を満たす改修を行っているか、解体後の土地として売却する場合に限られます。
もしこれらの条件を満たすことが証明できれば、売却益が出た場合に大きな税金の節税効果が見込めるでしょう。
参照:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
相続土地国庫帰属制度は、管理が困難または継続的な費用負担が大きい土地を相続した際に、それを国に帰属させられる制度で、相続人は土地の管理責任や税金の負担から解放されます。
この制度の適用を受けるには、その土地が公共の利益に資するものであること、また管理や処分が困難であることが認められなければなりません。
申請は相続の開始を知った日から3ヶ月以内に行う必要があり、承認されればその土地は国のものとなって、相続人の財産評価から除外されます。
相続土地国庫帰属制度は、特に遠隔地にある土地や開発制限区域内の土地など、個人が管理するには非現実的な土地に対して有効ですが、適用を受けるためには、詳細な申請書類の準備と正確な土地評価が必要となるため、専門家との協力が不可欠でしょう。
参照:相続土地国庫帰属制度の関係法令等|法務省
相続手続きは非常に複雑で時間がかかる手続きです。また仕事や家事で忙しい合間に手続きをするのはとても労力がいることです。
など「どうしたらいいか分からない」という事態に陥りやすいのが相続手続きです。
率直に言わせていただくと、これらは初めてやる方にはとても大変な作業です。
時間も手間もかかります。相続人が知らない預貯金や不動産を調査しなければ数年後に困った事態が発生することが多くあります。
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